所属は奇病専門病棟です。【文スト】 (ページ3)

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カルテNO.1　「花吐き病」　中島敦さん（18）ページ3

「ｹﾞﾎｯ…」

ひらひらと診察室の床に落ちる蒼い綺麗な花弁。

「大丈夫ですか？」

「うｯ…ん、ｹﾞﾎｯ」

「敦さん、貴方の病は、“花吐き病”です。それもステージⅢ。どれだけ我慢したんだよ…もう…」

「花、吐き、病？ステージⅢ？」

「はい。」

「花吐き病。其れは、片思いを拗らせる事で発症する奇病。」

片思い、其の単語に反応された。

「其れ」

「？」

足元の蒼い花弁を指差した。

「何色か、判ります？」

「蒼？」

「此れ、大分進行している色なんですよ？純白の白から始まり、痛みの赤、哀しみの蒼。末期の紫。あと一歩遅ければ、もう貴方は此の世界に居ないんですよ」

「…すいません」

「想いを寄せているお方、いらっしゃるんですね？」

敦さんは耳まで赤くして頷いた。
ピュアだな。

「そのお方と結ばれるしか、治療法はございません。」

目を丸くさせた敦さん。

「むっ、りだよ！僕が…鏡花ちゃんとむっ、むす、結ばれるなんて…」

嗚呼、此の人ヘタレだな…。

「じゃあ…お手伝い致しますよ」

「…お願いします…」

外に私だけで出ると、お連れ様である、泉鏡花さんが駆け寄ってきた。

「敦は…？」

「嗚呼、大丈夫では無い。大分、病が進行しててな。」

「そんｯ…」

「貴女、彼を救いたいか？」

「勿論…。彼を救えるなら、何だって…」

「じゃあ、敦さんに好意を持っているか？」

此方も顔を赤くして、か細い声で「はい」と云った。

「だったら直ぐに治りそうだな」

「え？」

鏡花さんの手をぐいと引き、診察室の扉を開けた。

「敦さん！腹を括りましょうね、治療のためですよ？」

察したのか顔が真っ赤だ。

「さぁ、治療しましょう！あ、そうだ鏡花さん、苦しそうにしたらAと呼んで呉れ、外にいるから」

「…此の花は？」

「触るな！、感染する！」

ぱっと手を引いた鏡花さん。

「…鏡花ちゃん」

そう云って鏡花さんの手を敦さんが取った。

この辺で退散！

「…よ、Aさん」

「出たか腐男子18歳、云っておくがこの中にはお前の期待するモノは無い。NLだ。」

「知ってるよ？」

知ってんのかよ。

「だから立ち去ー」

「Aさん！」

「おっと」

私は扉を開けた。

顔を真っ赤にして苦しそうな顔をする敦さん。

「はい、落ち着いて～、大丈夫です、吐き出して」

「待て待て、【異能力・わたしはあなたの涙になりたい】」

「敦さん、怖いですよね、痛いですよね？」

背中を鏡花さんが擦る。