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倒れているAめがけて腕が伸びる。
───錆・真「A!!」───
「炭治郎!俺のことは気にするな!鬼に集中しろ!」
炭「A!跳べ!跳ぶんだ!」
Aは一瞬戸惑ったが炭治郎の言う通り地面を蹴り、思いっきり跳んだ。
瞬間。地中から腕が出てくる。
「!?」
これにはAも驚いた。だが怯む様子も見せず技を放つ。
炭・自「あああああああ!!!」
───真「やっぱり炭治郎達も負けるのかな?アイツの頸硬いんだよね…」
錆「負けるかもしれないし、勝つかもしれない。ただそこには一つの真実があるのみ。炭治郎は誰よりも硬く大きな岩を斬った男だということ、Aは誰よりも辛く大きな試練を乗り越えて来た女だということ」───
──華の呼吸 参ノ型 華時雨──
──全集中・水の呼吸 壱ノ型 水面斬り──
ヒュウウウ
──この音、あの時アイツも同じ音を立てた。風が坂巻くような音だ──
鬼「鱗滝!!!」
──ザシュ ザシュ──
鬼の腕が落ちていく。
何本も、何本も。
とどめだと言うように炭治郎が技を放つ。
──ザン──
無惨にも鬼の頸が跳ねられる。
ドシャ とこだまする音と共に地面に鬼の頸が落ちる。
──くそっくそっくそォオ!!死ぬ!!体が崩れていく、止められない、どうせアイツらも汚いものを見るような目をするんだろう。
蔑んだ目で俺を見るんだ。
くそっ、目を閉じるのは怖い。
でも首の向きを変えられない
最後に見るのが鬼狩りの顔だなんて──...
・・・どうしてこんなことに───
炭治郎は鬼に哀れみの目を向けた。
Aが鬼と目を合わせると鬼が人間だった頃の記憶が流れて来た。
───兄ちゃん怖いよ、夜に一人ぼっちだ
俺の手を握ってくれよ、いつものように
どうして俺は兄ちゃんを咬み殺したんだ
・・・・・・あれ?
兄ちゃんって誰だっけ?───
二人は鬼の手を握った。
一人は来世は鬼にならないように願いを込めて。
もう一人はもうこんなに辛い思いのする人がいなくなるよう願いを込めて。
鬼の目から涙が溢れ出す。
炭「神様、どうかこの人が今度生まれてくる時は鬼になんてなりませんように」
「神様、どうか、もうこんな辛い思いをする人が増えませんように。」
Aの頭にまた鬼の記憶が流れて来る。
───兄ちゃん
兄ちゃん兄ちゃん、手ェ握ってくれよ
しょうがねぇなあ
いつまでも怖がりで───
Aの目から涙が溢れ出す。
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ありま(プロフ) - 「近ずく」ではなく「近づく」が正しい語かと思います。ご確認ください。 (2020年1月12日 13時) (レス) id: f98bd03ab1 (このIDを非表示/違反報告)
1775 - 花帆さん» コメントありがとうございます!お褒めの言葉を貰えるとは…!支えになります、ありがとうございます! (2019年8月31日 8時) (レス) id: c25ea08818 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 炭治郎の短編面白かったです(*´ω`*)炭治郎がいてくれる安心感にきゅんとしました! (2019年8月30日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆで卵 | 作成日時:2019年8月10日 14時