信じて良いよ (ページ1)

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転校初日。

重い足取りで転校先の学校へ向かう。

A(はぁ…どうせ次の学校もすぐ転校になるんだろうな…)

お父さんの仕事の関係で何度も転校を繰り返してきた。
前の学校なんか2ヶ月だ。たったの2ヶ月。

何度も別れを経験するのは辛い。
だったら最初から友達なんか作らない方がマシだ。

学校まであと5分ほど。歩くスピードはどんどん遅くなる。
何人もの学生に追い抜かれ追い抜く人もいなくなった。
遅刻しない程度に時間を計算し出来るだけゆっくりと歩く。
きっと私が最後に門を通るのだろう。

？『あれぇ…絶対ここら辺に落ちたのに……』

声がして顔を上げると少し前の道端に1人の男の子がしゃがんで何かを探していた。

A(制服…私が今から行く学校の子だ…)

正直声は掛けたくない。素通りしたい。
すごい怖い顔の子だったらどうしよう。
ましてや転校初日から遅刻なんてごめんだ。

A(でも…)

A「あの…何か探し物ですか…………？」

どんどん声は小さくなり最後の方はきっと聞こえていないであろう大きさで声をかけた。

？『えっ？？？』

勢いよく振り返った顔に思わず後ずさる
しかしその顔は子犬みたいに可愛くて綺麗な顔立ちをしていた

？『何かいいました？！』

A「あ、いや、探し物してるのかなって…なんか困ってそうだったから…その…」

？『あー！そうですそうなんです！！実は大事にしてたストラップが鞄から取れちゃって……』

そう言って目の前の男の子は止めてあった自転車のカゴに入っている学生鞄のチャックを指差す。

確かにチャックにはストラップの紐の部分だけが付いていた。

？『自転車漕いでたら飛んでっちゃって…多分この辺に落ちたはずなんですけど全然見当たらないんですよ…』

しゃがんだまま、シュンと悲しそうな顔をする彼は本当に子犬みたいだ。

そんな顔を見てしまったら助けたくなってしまうじゃないか。

私は彼が探していた辺りにしゃがみ草を手で避けながら探し始めた。

？『えっ、手伝ってくれるんですか?!』

A「だって…大事なものなんでしょう…？」

？『わ～！嬉しいなぁ！ありがとうございます！』