きゅんとしたら寝ろ。

敬語上司.1 ページ10

今日は私の誕生日。
毎年母から一人暮らしの私の家にプレゼントが届く。

友人からのおめでとうメッセージは日付の変わる直後がピークだったけど、今も何度か届いている。

ランチから皆と過ごし、そのまま友人宅にお泊まりをする。

……まぁ、こんな日に休日出勤が無ければ、の話だけど


(なんでカタカタパソコンしてなきゃいけないの！)


社会人に心情というものはないのか。
誰も私の誕生日など知らない。
と言うか、今親しい同僚はいない。


今日は何も出来ずに過ごすのか、とため息をついたその時



「お疲れ様です、伊原さん」



後ろを振り向くと、そこには瀬名先輩がいた。

仕事が出来て人当たりも良く、おまけに見た目も整っている。
私の部署のアイドル的な存在の彼だ。



「お疲れ様です！瀬名先輩も休日出勤ですか？」
「はい、部長からの頼まれごとで。でもさっき終わったところです」



ここ、いいですか？


遠い存在だったアイドルが、私の隣の席を指してそう言った。

もちろん私は頷くことしか出来ない。



「瀬名先輩は仕事が早くて羨ましいです…」
「そんなことありませんよ。ケーキ、どれがいいですか」



先輩が持っていた箱の中には、ショートケーキとモンブラン、チーズケーキにミルフィーユが

先輩の顔をもう一度見上げると、切れ長の瞳を細くして微笑んでいた。





「頑張り屋さんの伊原さんが一番に選んでください。」





お茶取ってきますね、と先輩が立ち上がる。

先輩にやさせてしまうのはいけないし、気分転換に私も席を立つ。



優しさについ、頬を染めてしまう。








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「」

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