きゅんとしたら負け。

不器用 ページ3

「よっ」


引越しの手伝いに来てくれた大樹。

ありがとうございます、とても助かります。

ダンボールの片付けが終わり、配置を少し考えたいと思っていたところだ。


１人増えるだけですごく頼りになった。

それに、一緒にいれるなら、片付けなんかどうだって良かった。



「話し相手がいると捗るねえ」
「マジ？」
「一人寂しくやるより、楽しくやりたいもん」
「あー、確かに。」



大樹は、私と同じ大学の彼氏。

あんまり自ら話をするタイプでは無いけど、コロコロと変わる表情は見ていて飽きない。

それと、言葉じゃ表せない位優しい。

買い物袋は何も言わずに持ってくれるし、第一こうやって率先して手伝ってくれる。

幸せって食べ物を食べている時だけじゃないんだなぁ。



「大樹、休憩しない？」
「ん、ああ」
「ケーキあるんだ、食べよ」
「終わってからにしない？あとこれだけだし」



大樹は、やると決めれば徹底的にやる。

割とだらける方の私としては、凄くいい相方だと思う。
……相方的には迷惑な奴だろうけど。


ブー垂れながらも続きをすすめる



「はは、ありがとな」
「ケーキ……」
「後で食べような、な？」
「うん……」



多分、大樹は私の扱いがうまい人ナンバーワンだ。

ケーキを、仕事が終わった後に２人で食べると考えると、俄然やるきがでてきた。


「よし、がんばるぞ！」


気合を入れて、荷物を片付けて行く。


「あ」



何かに気が付いたように、彼が呟いた



「どうしたの」
「いや、なんも」
「知りたい」




「いや、なんつーか」



「夫婦みてーだな、って」




やっぱなし、忘れて。と、顔を赤くした。

いやいやいやいや、忘れるわけないでしょ。
というか、あんなに可愛いんだもん。忘れるもんですか。





◇
不器用

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