きゅんとしたら負け。

世話焼き.1 ページ11

「あ、ハンカチ持った？先生に怒られちゃうよ」

「今日体育ラケット要るよ、忘れてない？」

「制服のリボン曲がってる。……ああもう、ここ！ほら！」




ドジな私は、幼馴染みの大樹に昔から頼り過ぎていた。

大樹がいないと忘れ物はするし、まともに制服だって着れない。

大樹は、私にとって必要不可欠な存在で。



今日だって、また相談に乗ってもらっている。

昨日、彼氏にフラれたばかりだった私の心に、大樹の言葉はよく染みる。



「……ロクな奴じゃなかったろ？」
「最低でした。」
「ほら言った。俺止めたのに。」



私と彼氏が付き合う前

告白されたその日、誰よりも早く大樹に話した。

普段から仲良くはしていたけど、浮気性だとかいろんな噂があったから、相談も交えて。

大樹は猛反対した。

だけど、馬鹿な私は自分から相談したのに、彼を否定されているのに腹が立った。


私は、ただ大樹に応援されたいだけだった。


あの時、大樹の言うことを聞いていれば。


「好きだったんならしょうがないって」
「……うん」
「まず、ちゃんと男を見る目を磨くこと。」


大樹は怒らず、慰める様に笑いかけてくれた。



「大樹みたいな人がいたら、その人と出逢いたいな

……なんて」




その言葉から、大樹は何も話さなくなった。

どうしたのと問えば、手で顔を覆ってしまった。


赤く染め上がった耳を、私は見逃さなかった。

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