きゅんとしたら負け。

寂しがり ページ1

「あああ！すき！ねえAちゃあん」


電話越しに泣きつくのは、大好きな大樹。

毎日学校で顔を合わせる私達にも、週末は訪れる。
今日は少し、私の方が用事があったので、会えなかったことをずっとずっと寂しがっている可愛い恋人。

一つ年下の大樹は、可愛くて弟みたいに思ってしまう時がある。

きっと、彼のことだから嘘泣きではなく、本当に少しべそかいているんだろうなぁ。

たまにｸﾞｽﾘと聞こえる。

ほんと、ツボだ。



「俺、ずっともしかしたらって思って電話してたんだよ」
「ごめん、今日電源切ってた……」
「謝らなくていいんだよ、今日Aちゃんは用事だ。」
「うん、ごめん。」
「だ、だから謝らなくていいってば。」



違う、違うんだ。

用事がどうこうじゃなくて、一時でも不安にさせちゃった私が悪いんだ。

移動時間くらいは、何か話せばよかったなぁと後悔。

ごめんね。



「あ、そうだ、Aちゃん、明日は空いてる？」
「空いてるよ」
「じゃーあ、明日は俺に付いてきて！それでチャラ！」
「え？」
「だってAちゃん、また心の中で謝ってたんでしょ」



俺にはわかるんだな、と大樹が笑った。

えっへんと王様みたいな彼がおかしくて、私まで吹き出しちゃったり。

笑わないでよ、って怒られちゃうかな？と思ったら




「…明日は、どこにも行かないでよね？」






余裕の無さそうな声、レッドカードです。




◇
寂しがり

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