夢を見ていた ページ5
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『A、一緒に東京に来てくれないか、』
『1年経ったら、迎えに行く』
突然の電話の内容は、そんな話で。
私にはまだ 高校生活最後の1年が残っていて、
樹くんはそんな私を1年経ったら迎えに行くと言った。
その時の私は、また子供で。
樹くんの言った言葉に胸を躍らせて、
東京で2人で暮らすことばかり、夢見ていた。
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あれから1年、
私は無事高校を卒業し、
頭に桜の花びらを乗っけて学校の門を後にした。
prrr...
prrr...
『_____ お母様が病院に運ばれました。』
私が式を挙げている最中、
持病を患っていた母が倒れたとの連絡が入った。
走って走って、
制服が乱れるくらい、走ってたどり着いた病院で
母は静かに私を待っていた。
prrr...
prrr...
また、私の着信音が鳴る。
『おいA、今どこ · · · · · · 』
息を切らした、樹くんの声だ。
私は、そっちには行けないのに
どうしてこのタイミングで、
お母さんを置いて島から出ようとしたから?
考えても考えても、出てくるのは涙だけ。
『ごめんなさい、私そっちには行けないっ、· · · 』
ぷつ、と切れた電話の向こうで
彼はどんな表情をしているのだろうか、
私を憎んでいるだろうか
いっそ憎んで、恨んで、嫌って
私の事なんて忘れてしまえ
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