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人気のない路地裏に有る、1軒の店。
そこは、仮面売り場だ。
「あぁ、ダイスケくん。おはよう」
この髭面のじいちゃんは、
おれの正体を知らずに仮面を売ってくれる。
舞台齧ってて、稽古で使うんだよね
なんて適当に言ったらそれ信じちゃってさ！
ほんっと、人間って単純。
今日は黄色の仮面を購入した。
黄色と赤って、合わなそうだろ？
それがさ、意外と合うもんで。
「おじちゃん、またね〜！」
おれはとびきりの笑顔で店主にさよならを告げ、
来た道を戻る。
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『あの 、落ちましたよ』
明日はどこで トオリマ しようか、なんて考え事をしながら歩いていたおれは、
財布を落としたのを気づかなかった。
「あ、ありが、と · · ·」
拾ってくれた女の声に目を向けると、そこには
なんだ、これ
目の前にいる女は赤くもないし
ましてや 血でもない
なのに、なんだよ この興奮。
おれの息はどんどん荒くなって、
目の前がゆらゆらと揺れ始めた。
『大丈夫ですか？』
あぁ、そんな魅力的な声でおれに話しかけないでくれ
おれは普通の人間じゃないんだ · · ·
そこからの意識は、ぱたりと無くなった。
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