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貴方 side.
これは、私と照が付き合う前の話 _____
「Aちゃん、今日のドレス何にするの？」
今日はとても晴れた日。
まだ夏は来ないって言うのに、太陽は私たちをこれでもかという程に照らしていた。
「 · · · ラウ、おはよう！」
黒服で1番末っ子の、ラウールは
この間高校を卒業したばかりの超可愛いハーフ男子。
この子の凄いところは、
まだ未成年だというのにもかかわらず黒服の誰よりもしっかりしているところだ。
今までに遅刻無欠席は無し
勤務中は背筋を伸ばし、そのまるい瞳で店中のお客さんを見ている。
そして、こうして積極的に私たち嬢に話しかけてくれるところ。
女だからか、年下の男の子を見るとどうしても母性本能が出てきてしまう。
それが高じてか、嬢はラウールと話した後いつも上機嫌で仕事に取り組めるのだ。
「今日はこの花柄にしようかな、似合う？」
鏡の前でドレスを合わせ、私はラウールに問いかけた。
「とっても綺麗ですよ、お嬢様。」
へへ、と笑ったその表情はまだどこか幼さが残っており、私に言った台詞には似合わない。
ラウールは、褒めるのが上手いのだろう。
こうやって周りの女の子たちを誑かしてきたのだろうか、
いやいや、まさかこのラウがそんなことするはずない · · ·
そう、ひとりで自問自答をしていた私を不思議そうにみつめて、ラウールは店内へと姿を消した。
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