十一 ページ11
総悟side
道場に帰ると、Aさんの姿が無かった。
(土方はどうでもいい。)
そして食堂の机に置き手紙があった。
「○○病院にいます」
近藤さんはそれを見て、とても驚いていた。
俺ももちろん心配だ。
でも、土方が一緒にいるのが納得いかねぇ。
Aさんの隣は、いつだって俺がいた。
*
「Aさん!」
「総悟くん、わざわざごめんね」
独特の匂いの病院に入ると、Aさんが入院したとの事だった。
「げ、土方」
「お前今俺見てげっつったな」
「言った」
「あぁあぁ素直でよろしいなぁ!!」
土方が機嫌を悪そうにする。
それだけで俺は十分だ。気に食わねぇ野郎はああなっときゃあいい。
「目上の人にはしっかりと敬語を使いなさい?」
姉上のようなことを言う。
Aさんも土方の野郎を気に入っている。
それどころかいつも一緒に居て、俺の入る隙間なんて無くなった。
「って言ってるぞ土方」
「いや俺!?」
手続きを終わらせた近藤さんが帰ってきた。
土方は2週間、Aさんは1週間だそうだ。
2週間も帰ってこないんだ、嬉しい。
「ざまぁみろ死ね土方」
「お前が死ね総悟」
Aさんは俺らの言い合いを見て微笑んでいた。
それを見て、土方は俺との言い合いをやめた。
「何笑ってんだよ...」
「土方君、子供みたい」
「子供じゃねぇ!総悟と一緒にすんな!」
やっぱり、俺の入る隙間なんて無い。
...俺の大事なもん全部かっさらっていく...
俺は病室から出て、誰にも言わず一人で家に帰った。
「気に食わねぇ...」
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作者名:唐辛子の民 | 作成日時:2018年4月8日 19時