十二 ページ16
彼が来るようになってから
総悟くんは彼とよく喧嘩するようになった。
それを止めるのはいつも私。
「総悟くん」
「Aさん!」
「喧嘩しちゃだめでしょう!」
そうやってほっぺを抓るとごめんなさい、と謝る。
もう日常茶飯事になりかけている。
そして、夜になると晩御飯を用意し、総悟くんを家に送る。
「総悟くん、帰ろうか?」
「はい!近藤さんさようなら!」
「おう!じゃあな!」
声が聞こえたのか近藤さんの後からサッとでてきた彼。
総悟くんは不機嫌そうな顔をするので、早く送ろうと思ったその時。
彼は私を呼んだ。
「おい、俺も行く」
なんでなんだろう。
きっと、お稽古で疲れきっているに違いないのに。
「付いてくんな!土方コノヤロー!」
「どうしたんですか?いつもなら総悟くんに早く帰れなんて言うくせに」
すると彼は少し考えて
「...野暮用」
と呟く。
まぁ、付いてきちゃいけない理由なんてないし...
総悟くんは少し怒るけれど
というか、
______着いてきてほしい。
道場から出て、静かな道を三人で並んで歩く。
総悟くんは彼にガンを飛ばしているけれど、彼は無視していた。
いつもなら、喧嘩しちゃうのに...
そんな彼に驚いているのか、総悟くんも驚く。
いつの間にか家の近くまで来て、ミツバさんが玄関でたっているのが見えた。
それを見つけると総悟くんは走っていく。
「ありがとうございます。また総ちゃん迷惑かけてませんでした?」
「ええ、大丈夫ですよ。いつも通り元気でした」
「良かったわ。...そちらの方は?」
「あぁ、えーと...」
そういえば、あれだけ喧嘩もしたっていうのに名前がまだだった。
「あー、土方だ。土方十四郎」
「そ、そうそう土方さん。」
「よろしくお願いします」
そう言ってペコリとミツバさんがお辞儀をすると、彼も軽くお辞儀をした。
「姉上、お腹が空きました」
「ごめんなさいね。晩御飯の支度しなきゃ」
「いえいえ、こちらこそ。ではまた明日」
ミツバさんは私達を見送ってくれた。
道場までの帰り道を歩いていると、いきなり彼が止まった。
「お前も付いてこい」
「へ?」
「野暮用つったろ」
「あぁ」
二つの分かれ道、いつもは右に曲がるが、今日は左に曲がる。
左の道は行ったことがないが、確か上に向かって行く道だった。
「どこいくんですか?」
「黙って付いてこい」
言葉からは不機嫌に聞こえたが、彼の声はいつもより陽気だった。
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唐辛子の民(プロフ) - 愛音さん» ありがとうございます! (2018年2月25日 23時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
愛音(プロフ) - 唐辛子の民さん» まさかそこまで言って頂けるとは…。とても嬉しいです!ありがとうございます。これからも見に来ますね。陰ながら応援してます! (2018年2月25日 22時) (レス) id: 8d78b160ba (このIDを非表示/違反報告)
唐辛子の民(プロフ) - 愛音さん» まっ、まさかっ!?あの愛音様!?いつも見させていただいてます!こんな方に見ていただけるなんて何たる光栄!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2018年2月25日 22時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
唐辛子の民(プロフ) - まかろんさん» いやもう私もなんでこんなに伸びてるのかわかりませんよ。w多分私は神でも天才でも無いです。なんかこんなに褒めていただくと照れますね。w楽しんでいただき何よりです!更新がんばります!よろしくお願いします! (2018年2月25日 17時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 後れ馳せながら読ませていただきました。あなた様は天才ですか、神ですか、どっちですか。あ、秀才なんですかね。なんでこんな面白い小説書けるんですか、その文才分けてください。神は1人に二物も与えるんですね。楽しみにしてるので更新頑張って下さい! (2018年2月25日 15時) (レス) id: 8aa890658c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唐辛子の民 | 作成日時:2018年2月24日 5時