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#10 ページ10

side龍友

龍「涼太、毛布は出しとく?」

涼「んーっと、そうですね、一応。あ、でも龍友くんが暑いなら、」

龍「んーん、別にええよ。一枚だけ出しとこか」



最近は、少しだけ肌寒くなってきた。

毛布を引っ張り出して上にかけ、涼太と隣に寝転がる。









龍「寝れへん?」

涼「ん?いや、もうすぐ寝ますよ?」

龍「そっか」


これも涼太の病気が発覚してから。

少しだけ、寝る前のルーティーンが変わった。




今までは、誰の家だろうが地方のホテルだろうが海外のホテルだろうが。

布団に入れば、真っ先に眠っていた涼太。

おやすみの言葉を言うよりも先に、電気を消すよりも先に眠っていた涼太は。



今では、なかなか寝なくなっていた。

そもそも、目を瞑らない。

視界を手で遮ってやっても、なかなか寝なくて。



そんな涼太が寝るまで、僕は起きて見守る。

確認することも待つこともいらなかったこれまで。

でも今は違う。




涼太が眠るのを待って、それから僕も寝るようになっていた。








ゴソゴソ…

そんな布団や毛布の擦れる音と共に、隣の涼太が仰向けから横向きになったことを知る。

涼太は僕に背を向けるような形になる。





龍「涼太、こっち向いてや。涼太がそっち向くなら、僕がそっち行くで?」

涼「んーん、龍友くんももう寝てください」

龍「ん、わかっとるよ。一緒に寝よな」




強引なことはしたくないから、口ではああ言ったものの、僕は涼太の背中側から動かない。

ただそっと手を伸ばして、その背中をトントンとリズム良く叩いてやる。






涼「僕、子どもちゃいますって…」

龍「知っとる。別にええやん」



トントンしていると、いつものように拗ねたような声が聞こえてくる。


でも、本気で嫌がっているわけじゃない。

照れ隠しなのがわかっているから、やめない。








龍「なぁ涼太、こんなん僕持ってるねん」

涼太をトントンする反対の手で、スマホを触る。



そしてフォルダの中から、1つの動画を再生する。









涼「それ…なんで、」

龍「綺麗すぎて盗撮してもうた」

涼「ダメですよ、盗撮は」

龍「せやからごめんて…でもな、僕めっちゃこれ好きやねん」



僕が再生したのは、涼太がピアノを弾いている動画。

映像はもちろんあるけど、暗くてピアノの音色だけが響く。





少しして、聞こえてきた寝息に安心する。


「やっぱりピアノの音は好きなんかな」

ようやく眠った涼太に、そう呟いた。

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りさ - 新作楽しみにしてます(*^-^*) (2021年11月15日 3時) (レス) @page50 id: 96e86ff224 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめか(プロフ) - 下書きの公開楽しみです😊✨ (2021年11月13日 18時) (レス) id: e790979a11 (このIDを非表示/違反報告)
葡萄 - お父さんがめんさん、お兄ちゃんが亜嵐か、裕太かがいいです (2021年11月2日 12時) (レス) @page50 id: 9560844fb8 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 涼太くんがいいです(*^-^*)新作楽しみにしてます(*^-^*) (2021年10月31日 3時) (レス) @page50 id: e43e150c6b (このIDを非表示/違反報告)
さらん - あらんくんがいいです (2021年10月29日 11時) (レス) @page48 id: d9f6645eb5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:jdhchebbdn | 作成日時:2021年8月7日 21時

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