【ディズニー/カーズ】優勝カップをあなたに【disney/cars】

５話 ページ6

記者団と共に、表彰台の方へ歩みを進める彼の後を追いかけて、私も近くまで向かう。
ちらりと彼の姿を見れば女の子相手に鼻の下を伸ばし、折角声をかけてくれているキングさんの話は聞いていない始末。
とことん自分本位な振る舞いに、本日2回目の盛大なため息をつく。

「ため息なんかついてどうしたの？」

ステージの裏側に移動すると彼のトレーラーを牽引して貰っているマックもいたようで、心配そうに尋ねられた。
私が苦笑いで返すとまたマックィーンかい？と同じく苦笑いで返された。

『…実はピットクルーに辞められちゃって…どうしようかなぁと…』

今シーズンだけでもう三度目…

うわ言のように話せばお疲れ様なんて言われて心が折れそうになる。彼の自分勝手も些か度がすぎるな…
今回の事でやってくれる人なんて現れてくれるだろうか。いや、やってくれる人を何としても探し出さなくてはいけないのだ。
なんとか気持ちを立て直し、結果発表をする時の独特なファンファーレに耳を傾ける。

「皆さん、ピストンカップ史上初めての出来事です」

目を閉じ、次の言葉を待つ。
どうか、どうか彼が1着でありますように…

「なんと、上位三台同着！！大会本部はこの三台による王座決定戦を開催することを決定いたしました」

『うそでしょ…』

「開催は一週間後、カリフォルニアで行います」

しかも、1週間後…？
その間に最低でも三台は集めなくてはいけない
頭が痛くなりそう…

「…Aちゃん大丈夫かい？」

『うん。ごめんね、心配かけて…マックは移動、よろしくね』

「おまかせあれ」

ありがとうと頭を下げれば"これが仕事だからね"と笑って貰えてホッとする。

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