３７話 ページ38
キキーーッ！
鋭いブレーキ音がなり彼の方を見れば、なんとゴール直前で止まっている。その間にチックさんが走り去って行くが、彼は気にも止めずにキングさんの元へ走り寄る。そして、キングさんの後ろを押し一緒にゴールしたのだ。
「ある爺ちゃんレーシングカーが教えてくれたんだ。あんなのただの置物だって」
ヘッドフォンから聞こえる声に悔やむ様子はない。町の皆さんに出会えたおかげで彼は速さよりもレースよりも優勝カップよりも大切なものを見つけたらしい。そう思ったら涙が溢れて止まらなかった。
あの時、ゴール出来なかった私をも救ってくれた彼は、ヒーローそのものだった。
スポンサーテントに戻って来た彼を出迎える。マックもドックさんも他の皆さんも暖かな表情をしていて、口々に賞賛の言葉をかけた。
『ライトニング、貴方は私達の誇りだよ』
「ありがとう」
彼は未だ涙を流し続ける私の頬を数回撫でるとダイナコ社の方に向かう。社長さんと何かを話した後ちらりとこちらを向いて笑ってみせた。
ー
ラジエータースプリングス仕様にペイントされたボディを柔らかな風が通り抜けて行く。
大会から数日、一躍有名人となった彼はテレビにラジオに引っ張りだこ。私は、やっと休みの取れた彼と二人だけのドライブの真っ最中である。
案内された先はサリーさんに教えてもらったという町が一望できる山の頂上。目の前には広大な景色。
『素敵なところ…恋をしちゃうのもわかるなぁ』
「それは困るんだけど。…あのさ」
『なぁに？』
真剣な顔つきに胸の鼓動が早くなる。彼には聞こえてませんようになんて。
「ここまでこれたのは君のおかげだと思ってる。今までありがとう。これからもそばにいてくれる？」
『ふふっもちろんだよ。ずっと貴方のファンだもの』
とびきりの笑顔で言えば、彼も笑ってくれる。私の初恋は両想いで幕を閉じれるようだ。徐々に近づく唇にそっと目を閉じれば聞こえて来たのは楽しげなメーターさんの声。目を開けるとヘリコプターから私達を見ていたようだ。
「マックィーンとAちゃん木のしったで〜あっちっち〜の…こっちっち〜」
「邪魔すんなよ、メーター」
まあ、親友だから許すか。照れ臭そうに微笑んだ彼の頬にキスを落とす。目をぱちくりさせる彼の仕草一つ一つが可愛くてかっこよくて仕方がない。世界でたった一人の私のヒーローに今までの全ての想いを詰め込んで、笑う。
『大好きだよ、これからも』
〜fin〜
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ぷりん - 本当ですか？！楽しみにお待ちしてますね！！！.ﾟ+.(´∀｀*).+ﾟ. (2021年12月1日 17時) (
レス) id: bf5b200b30 (このIDを非表示/違反報告)
りのりの(プロフ) - ぷりんさん» コメントありがとうございます。最高と言っていただけるなんて…とても嬉しいです！今回の夢主ちゃんですね…！次回作の意欲はありますので、スローペースではありますが頑張ろうと思います！！ (2021年11月30日 15時) (レス) id: f39ba9092d (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 私は最近カーズを観てハマり、りのりのさんの作品を拝見させて頂きました！最高です！是非カーズ2やクロスロードも、今回の夢主ちゃんで書いてください！応援してます！！ぁ、今作の続き…その後も気になってます|ω・`) (2021年11月22日 21時) (レス) @page39 id: bf5b200b30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りのりの | 作成日時：2020年10月28日 0時
