【ディズニー/カーズ】優勝カップをあなたに【disney/cars】

３６話 ページ37

大きく頷いた彼はぐんぐんスピードを上げていき2週ほどついていた差はあっという間に0距離に。
インコースから攻めるがチックさんに体当たりをされて体勢を崩す。でもメーターさんから教わったらしいバックドライブで後ろ向きに抜き去った。トップ争いの三つ巴の展開。

残り10周の所でチックさんとの押し合いになり運悪く彼のタイヤがパンクしてしまった。イエローフラッグが出てピットに戻るよう指示が出る。

「レースカーが一周回ってくる前に戻さなきゃ勝ち目がなくなっちまうよ」

『グイドさん、お願いします』

不安げなマックをよそにグイドさんはフラットを構える。ライバルにどんなに煽られようと、グイドさんは真剣な眼差しを保ったままだ。彼がピットに入った瞬間、一瞬で4本のタイヤを交換し終えるとグイドさんはしたり顔を見せる。
このまま、彼が先導車両の前に出られるよう祈る。

貴方なら出来る…！

ギリギリの所で滑り込むように追い抜いていった彼に興奮が抑えられない。思わずグイドさんの元に駆け寄って褒め称える皆さん。私もその中の一人だ。

その後彼は驚異の追い上げを見せもう一度三台が並ぶ展開となる。状況を打破するために前に行こうとする彼を拒もうとチックさんが体当たりを仕掛ける。だが、運悪く彼だけでなくキングさんにも当たってしまい三台とも体勢を崩れてしまう。
中でも一番外にはじき出されてしまった彼は、普段ならコースアウトになってしまう芝生の上で華麗にドリフトを決めた。

「蝶のように舞い」

「蜂のように刺す！」

『あと少し、頑張ってライトニング！！』

バランスを崩していた二台を抜きトップに立つと二位との差を広げていく。もう今の彼には前のような危なっかしさから来る緊張感はなかった。どんなことが起きてもしっかりと処理していく彼に隙は全くない。

彼の夢がもう少しで叶う、そう思ったら手が震えた。
優勝が決まると思ったその時、キングさんがチックさんの体当たりの所為でクラッシュ事故を起こした。ボロボロになった身体は動けそうにない。自分と重なって息が詰まった。

私の事故もゴール直前、ラスト一周で起きたものだったからだ。

３７話→←３５話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す