27話 ページ28
サリーさんの申し出に、彼は嬉しそうに笑うと私の方に視線を送る。まるで君も行こうと言うように。私は首を振ると微笑んで見せた。
『私は大丈夫。楽しんできて?』
頷くとサリーさんの後を追い車を発進させた彼は目の端に移ったこの町から高速道路に続く道を見つめている。そのまま走り出しそうだと思ったのか、シェリフさんは赤いランプをつけた。
すぅ…と息を吸い込んで今できる精一杯の笑顔を作り、彼を呼ぶ。
『ライトニング!サリーさん、待ってるよ?』
目線で合図を送ればその方向に走り去って行く。身を乗り出して彼らの姿が見えなくなるまで見守り、そっと呟く。
『いってらっしゃい、ライトニング。』
聞こえないくらい小さな声で言ったと言うのに耳がいいらしいフローさんは聞こえていたらい。"貴方は行かなくて良かったの?"と聞かれてしまう。
『はい。だって邪魔しちゃ悪いですもん』
好きで好きでたまらないから、背中を押したかった。本当は私も彼と一緒にもう一度ドライブがしたい。彼の気持ちを立て直すのは私でありたかった。
でも、私は彼にとってただの幼馴染だ。そして、彼の心を解せるのは私じゃない。
彼への気持ちの名前が決まりそうだ。なんて悠長に考えて、楽観的な気持ちとは裏腹に泣きそうな自分に鞭を打つ。
『私にお手伝い出来ることがあればなんでも言ってください。彼がいない分働きますよっ』
──戻ってきた彼が笑えていれば私は満足なのだ。
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ぷりん - 本当ですか?!楽しみにお待ちしてますね!!!.゚+.(´∀`*).+゚. (2021年12月1日 17時) (レス) id: bf5b200b30 (このIDを非表示/違反報告)
りのりの(プロフ) - ぷりんさん» コメントありがとうございます。最高と言っていただけるなんて…とても嬉しいです!今回の夢主ちゃんですね…!次回作の意欲はありますので、スローペースではありますが頑張ろうと思います!! (2021年11月30日 15時) (レス) id: f39ba9092d (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 私は最近カーズを観てハマり、りのりのさんの作品を拝見させて頂きました!最高です!是非カーズ2やクロスロードも、今回の夢主ちゃんで書いてください!応援してます!!ぁ、今作の続き…その後も気になってます|ω・`) (2021年11月22日 21時) (レス) @page39 id: bf5b200b30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りのりの | 作成日時:2020年10月28日 0時