23話 ページ24
夜、サリーさんとお話しながらメーターさんと何処かに遊びに行った彼を待つ。やっぱり大人の、しかも都会で弁護士をやっていただけあって、話は面白く全く飽きない。
彼はきっとこう言う女性が好きなんだろうなと思って切なくなる。
「ねぇ、Aちゃんは恋人とかいないの?」
サリーさんの唐突な言葉に息がつまる。動揺を隠すように"いないです"と笑って答えればサリーさんも同じように笑った。
「じゃあステッカーくんの事はどう思ってるの?」
『え、ライトニングですか?…そうですね無茶しそうで心配になる幼馴染、ですかね』
彼の事を聞かれ少しだけ嘘をついてしまった。本当は”好きな人です”と続くけど言葉にしなかった。だってこのままの関係が一番居心地がいいのだ。彼も私の事をただの幼馴染だと思ってるはずだし、私もそう思っていたいから。気心知れたパートナーくらいの関係が丁度いいのだと言い聞かせる。
微妙な静寂が流れて、空気を断ち切るように私は言葉を紡ぐ。
『あっもう夜も遅いですし、そろそろお暇しますね。おやすみなさい』
「(貴女も結構不器用なのね…好き合ってるのにじれったい…)」
このままサリーさんのそばにいたら話してしまいそうで避けるように外に出る。そこには一筋のライトと楽しげな声が聞こえてきた。おそらく彼らだろう。いつの間にあんなに仲良くなったのかなと思っていたらメーターさんが突然バックで爆走し始めた。
「Aちゃぁーん!たっだいま〜!!」
『っ!危ないですよ!』
「大丈夫大丈夫〜〜!いやっほぉう!!」
何処にもぶつからずにコージーコーンや森を駆け抜ける姿に思わず笑ってしまう。その声が彼と被ってしまい少しだけ照れ臭い。彼の元に走り寄り"おかえりなさい"と笑いかけた。
「ただいま、変な奴だよなぁ」
『ふふっそうね。でも楽しそう…』
最後にくるりと一回転して丁度彼の目の前ぴったりに停車する。その運転技術に素直に感嘆の声が上がる。
「今のすごかったよ!どうやったの?」
「バックミラーを使うんだ。お前もつけたら教えてやるよ」
「はは、次のレースに役立てばな」
そう言って帰路に着いた彼を追いかけて私も進み始める。
「…なあ、そのレースってやつはそんなに大事なものなのか?」
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ぷりん - 本当ですか?!楽しみにお待ちしてますね!!!.゚+.(´∀`*).+゚. (2021年12月1日 17時) (レス) id: bf5b200b30 (このIDを非表示/違反報告)
りのりの(プロフ) - ぷりんさん» コメントありがとうございます。最高と言っていただけるなんて…とても嬉しいです!今回の夢主ちゃんですね…!次回作の意欲はありますので、スローペースではありますが頑張ろうと思います!! (2021年11月30日 15時) (レス) id: f39ba9092d (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 私は最近カーズを観てハマり、りのりのさんの作品を拝見させて頂きました!最高です!是非カーズ2やクロスロードも、今回の夢主ちゃんで書いてください!応援してます!!ぁ、今作の続き…その後も気になってます|ω・`) (2021年11月22日 21時) (レス) @page39 id: bf5b200b30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りのりの | 作成日時:2020年10月28日 0時