１４話 ページ15
突然のブレーキ音で我に帰る。直線の先には彼の姿は無く、予想通りカーブで曲がりきれずサボテン畑に突っ込んでしまったようだ。彼がいるであろう場所を見下ろすとサボテンの中で身動きが取れなくなっている。笑い声が所々聞こえて心苦しいが今までの彼の態度では当たり前だろう。
『大丈夫？ライトニング』
「おい今のは蝶のように舞ったのか？それとも蜂のように刺したのか？お前は走るのも道を直すのも雑だな」
彼のルーティーンである台詞で煽り、釣り上げてやれと一言言って去っていくドックさんに彼は何も言い返せずにいた。慣れた手つきで彼を引っ張りながらメーターさんは告げる。
「お前が落っこちること、ドックとAちゃんはわかってたみたいだぞ」
「悪いな、メーター、ありがとう」
一言一言区切り刺々しい言い方で彼は礼を言ったのだった。
ー
ふくれっ面で嫌々アスファルトを剥がす彼に住民が色々声をかけてくれるが彼は全て断っている。そんなに面倒くさいなら答えなくてもいいのにと思わないでもない。だが、無視をせず律儀に返す所は彼の良いところであり好きな所だ。
『そろそろ休憩する？』
「いい。…君もわかってたなら言ってくれたらよかったのに」
『ごめんなさい。気づくのが遅くてもう貴方は見えなかったの』
目を合わせてくれない彼は、今日ドックさんに言われた事が相当効いているようで文句を言いながらも作業を進めていく。そうあくまで、今は調子に乗っているだけで根は良いのだ。それに負けず嫌いな性格上、出来ないと言われれば何が何でも完璧にやる。そんな彼だとわかっているからマネージャーをやめようと思ったことは一度もない。まあ、そばにいたいと言う下心もあるけれど。
なんてぼんやり彼を眺めていれば、見られていたことに気づいたようで彼が私に視線を向ける。
「なに？」
『ううん。私もアスファルト剥がすよ』
「いらない」
『そっか。』
一応申し出たものの、彼のことだ一人でやり通したいのだろう。私はその場を離れシェリフさんの隣に立つ。彼には失礼だろうが、道路を黙々と直す真意な姿に笑みがこぼれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷりん - 本当ですか？！楽しみにお待ちしてますね！！！.ﾟ+.(´∀｀*).+ﾟ. (2021年12月1日 17時) (
レス) id: bf5b200b30 (このIDを非表示/違反報告)
りのりの(プロフ) - ぷりんさん» コメントありがとうございます。最高と言っていただけるなんて…とても嬉しいです！今回の夢主ちゃんですね…！次回作の意欲はありますので、スローペースではありますが頑張ろうと思います！！ (2021年11月30日 15時) (レス) id: f39ba9092d (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 私は最近カーズを観てハマり、りのりのさんの作品を拝見させて頂きました！最高です！是非カーズ2やクロスロードも、今回の夢主ちゃんで書いてください！応援してます！！ぁ、今作の続き…その後も気になってます|ω・`) (2021年11月22日 21時) (レス) @page39 id: bf5b200b30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りのりの | 作成日時：2020年10月28日 0時
