【ディズニー/カーズ】優勝カップをあなたに【disney/cars】

１３話 ページ14

各々が位置に着き、シェリフさんがルール説明をする。私は彼らの邪魔にならないように住民の皆さんと同じ少し段差のついた場所で彼を見守る。コースは砂地、彼は走った事がなかったはずだ。大丈夫だろうかなんて言う私の不安をよそに彼は思い切りエンジンをかき鳴らす。
大きな音に歓声が上がる。中でも一際嬉しそうに声をあげたのはレースが大好きで根っからのフェラーリファンだと自負している、ルイジさんとグイドさんだ。

ルイジさんの掛け声でスタートしたレース。旗が降りたと同時に彼は駆け抜けていくが、ドックさんは走り出さない。砂煙がなくなり彼の姿が完全に見えなくなった後、メーターさんを呼びゆっくりと走り始めた。住民の皆さんはドックさんの態度に落胆気味だが私にはわかってしまった。

あぁ…そうかなるほど…これは彼の負けだ…

直線でスピードを上げてからのコーナリング。アスファルトの道なら普通にできるそれが砂地等の滑りやすい場所だとスリップしてしまう。彼の走り方だと特に。ドックさんはその事を見抜いたのだろう。
だからあんなに余裕そうだったわけかと納得する。流石は伝説のレーサー。

『すみません、私も行きます。』

「えっAちゃんも？？」

『はい、サボテンって結構痛いですから』

私の言葉にドックさんは堪えきれず吹き出した。他の皆さんにはまだ困惑が広がっているようではてなマークが飛び交っている。メーターさんも例外ではない。

「お嬢ちゃんの方がよっぽど優秀なレーサーみたいだ」

『っ…ありがとうございます…』

ちくりと胸が痛む。ただの褒め言葉なのに。そんな私の雰囲気を悟られてしまい、"すまん"と謝られてしまう。私が勝手に落ち込んでしまったのに気を使わせてしまった。

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