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1話 ページ2

溢れんばかりの大歓声。完売のチケット。レース会場は満員御礼だ。私は、ヘッドホンについたマイクに拾われないよう注意しながら、肺に空気を送り込む。タイヤの焦げる匂いとガソリンの匂いが、鼻の奥まで入り込んだ。
背筋が伸びる。

ここは、戦場だ。

息を吐きながらまっすぐと前を見据える。目の前では、レーサー達が次々に駆け抜けていく。
その中で、ファンサービスをしている所為もあって一際目立つ真っ赤なボディの95番。幼馴染で天才ルーキー、ライトニング・マックィーンだ。
私は彼の幼馴染でマネージャー…兼今日はクルーチーフもしている。

彼は前を走るレーサーを華麗に躱しながら、どんどん順位を上げていく。
余裕気に万年二番手の異名を持つ(本人は不服)チックさんを追い抜いた時、体当たりをされ思い切りコースを外れてしまった。幸いクラッシュせず芝生の上で止まれたようで、ホッと息を吐く。

『怪我はない?』

「もちろん」

すぐにレースに戻った彼だったが運悪く最後尾。しかも狡猾なチックさんのせいで他の車達が激しいクラッシュを起こしている。酷い惨状に絶句してしまう。

「…追いついてみせるさ」

『まさか、あの中を抜けていくつもりなの?』

熟練のレーサーでも怪我をする可能性が高いクラッシュの中で、新人である彼はスピードを緩めずそのまま中に切り込んでいく。砂煙が上がっているにも関わらずだ。私はたじろぎそうになるも、気を立て直しワンブレスで状況を伝える。

『右斜め前から二台、真正面から一台きてる、そのまままっすぐ、目の前二台重なってる、気をつけて』

「りょーかい」

彼はスピードを上げなんと一台を踏み台にして高くジャンプ。ブレーキを上手く使い、コースを逸れることなく着地。一気にトップに躍り出る。

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ぷりん - 本当ですか?!楽しみにお待ちしてますね!!!.゚+.(´∀`*).+゚. (2021年12月1日 17時) (レス) id: bf5b200b30 (このIDを非表示/違反報告)
りのりの(プロフ) - ぷりんさん» コメントありがとうございます。最高と言っていただけるなんて…とても嬉しいです!今回の夢主ちゃんですね…!次回作の意欲はありますので、スローペースではありますが頑張ろうと思います!! (2021年11月30日 15時) (レス) id: f39ba9092d (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 私は最近カーズを観てハマり、りのりのさんの作品を拝見させて頂きました!最高です!是非カーズ2やクロスロードも、今回の夢主ちゃんで書いてください!応援してます!!ぁ、今作の続き…その後も気になってます|ω・`) (2021年11月22日 21時) (レス) @page39 id: bf5b200b30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りのりの | 作成日時:2020年10月28日 0時

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