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「うし、行ってきまーす」
いつものパーカーとスウェットに身を包み、財布と携帯を持って玄関へと向かう。
足取りが重いけど、行かなきゃ行けないし。
「あ、帰りに牛乳買ってきてよ」
「んあ、おけ」
閃ちゃんにお使いを頼まれ扉を開けると、眩しい太陽が頭を照らした。
暑い、なんて呟き、イヤホンを耳に当てる。
両耳から流れる音楽を頭に流しながら、歩いて駅に向かう。
気持ちも落ちているし、ストレスを感じているのか人酔いしそうになる。嫌だなぁ、という気持ちが溢れてしまった。
「…ついちった」
駅をいくつか通り過ぎて着いた本社を前に呟くと、覚悟を決めて中へと入る。
マネージャーと打ち合わせをしたけれど、特に昨日の配信については何も言われなかった。
マネージャーも、批判をする側の人間なのだろうか。なんて思いながらも、淡々と打ち合わせを終わらせた。
さて、牛乳を買って帰るか、と思い、閃ちゃんに連絡をしようと携帯を取り出した。
「あれ、葛葉」
不意に名前を呼ばれて振り向くと、そこにはよく知った顔。
今は知ってる人に会いたくなかったんだけどなぁ。
「ども、もちさん」
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作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2022年9月7日 11時