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「‥は、何言って‥」
「やっぱり抱かれたろ。何お前男好きだったっけ？」
「ちげぇよ、何勘違いしてんだ」
「言い訳すんなって。‥まさかお前が抱かれる側とはな」
何とか言いくるめようとしたが、どうやらむりだったようだ。
でも、この際どうでもいい。こんな奴、今日が終わればもう二度と会わないだろうから。
「‥あ」
こいつの顔をまじまじと見たとき、あることに気が付いた。
「お前、その耳」
「耳？」
「ピアス」
「ああ、ピアスな。昔から開いてたろ、俺もお前も」
「耳たぶだろ。じゃなくて、軟骨」
「あー、開けた」
そいつの耳には数個の軟骨ピアス。
それを見たとき、脳裏には孝太郎の姿が浮かんだが、なぜか一瞬で消えてしまった。
ちょうどいいや、自分でやって失敗するよりも。
「自分でやったのか、それ」
「そうだけど」
「じゃあさ‥」
後から考えれば、ピアスなんて失敗してもやり直せるんだから自分でやればよかったって思う。
それか、俺の小さな嫉妬なんて捨てて、孝太郎に頼めばよかったんだ。
なんて、今更後悔しても遅いけれど。
成人したとはいえ、まだ二十歳と一年。俺もまだまだ、子どもだったってことだ。
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作者名：ヨッコラセ | 作成日時：2018年9月7日 23時
