Ｒｏｏｍ (ページ12)

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「‥おかえり」

「‥んで居んだよ」

「別にいいだろ。お前もどこ行ってたんだよこんな時間まで、それに、その傷なに。また変な喧嘩でもしたのか」

「どうでもいいだろ」

家に帰ると、そいつが居た。

今は顔を見たくなかったなっていうのが、実は本音だったりする。

数時間前に開けた軟骨より、今は下腹部がずきずきと痛み、もやもやとしたどこにぶつけていいのかわからない怒りと悲しみと絶望が俺の体の中を駆け巡っていた。

「ほら、今日はオムライスにしたから。昨日作れなかったろ」

座れよ、と言って小さなテーブルにおいしそうなオムライスを用意してくれた。

その優しさが逆に痛くて、もう何もかも投げ出したいような気分になった。

「別れるか」

「‥は」

気が付いたときには、そう口走っていた。

古い木造アパートのこの一室に、隙間から入ってくる冷たい風と、壊れそうな窓がガタガタと揺れる音が響く。

無意識に言った言葉に、俺はあまり後悔はしていなかった。

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