Seasons ー第1章ー

樹の心配事 ページ25

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【side樹】



TRIBEツアーに向けてのリハーサルやアルバム発売の宣伝での撮影。


ここ最近はメンバー全員揃っての仕事が増えた。


でも気になることがひとつ。




雪の様子が変だ。




一見いつも通りに見えるけど、どことなく元気がない。


他のメンバーは気付いてんのかな。山彰さん辺りは洞察力が鋭いから絶対勘付いてるはず。

ちらっと山彰さんと目が合うとお前が行けとアイコンタクトされた。



「ったく、なんで俺が…」



リハ終わり、ぼーっと座っている雪の元に近付くと隣に座った。



「雪、悩みあるなら聞くけど」


単刀直入に聞く俺に雪は乾いた笑みを浮かべると俺の肩にこてんと凭れかかってきた。


後ろから翔平やRIKUさんの叫び声が聞こえるけど当の雪は大して気にも留めてない様子。



「最初はよかったんだけどね。だんだん気持ちが変化していくたびにドラマ見るのが苦しくなってきちゃって。こうやって寝てるシーンがあるの。健太くんのヒロインを見る目があまりにも切なげで、私の知ってる健太くんじゃなくて。でもそれって、きっと他の女の子は見たことあるんだよね。寂しいよね、なんか」



雪がここまで弱っているのはあの時以来だ。


健太さんに彼女ができたと俺に泣きついてきた、あの時以来。



「ばーーーーーか。相変わらず拗らせすぎ」


「こら、関西人に向かってばかって言うな！」


「男紹介しよっか？っていっても寛太くん以外思い浮かばないけど」


「寛くんにこんなこと言ったら怒られちゃうよ」




そう言うと膝に顔を埋める雪。


俺はお似合いだったと思うけどな。寛太くんと雪。





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