#１５０ ページ3
．
その声に動揺する私に涼太くんは耳元で「行ってきな」と呟いた。
思うがまま裸足のまま飛び出して、玄関を開けると一気に真冬の海の寒さが肌を刺す。
体温が奪われていくのより、そこに居た人姿を見て心臓がバクバク脈打つ。
『玲於 … っ』
私に気付いた彼は、優しく微笑んで「風邪引くぞ」と声を掛けてくれた。
でも、それ以上は足が動いてくれなくて玄関の前で棒立ち状態。
涼「ホント、玲於のいう通り風邪引いちゃうから」
後ろからカーディガンを掛けてくれる涼太くん。
涼「どう？僕のサプライズ」
『どうって … っ』
嬉しくてたまらないよ …
涼太くんは、今朝直己さんに連絡してここに玲於を連れてきてもらうように頼んだらしい。
オーディションまでここで合宿ができるように、機材も全部運んでもらって。
涼「前に行ってたでしょ？みんなでどこか行きたいって」
『そんなこと覚えててくれたんですかっ』
涼「当たり前でしょ、Aのやりたいことを叶えてあげなきゃね」
直己さんが持ってきてくれた機材をみんなで協力して運んで、何もない部屋を簡易スタジオとして使うことに。
アンプをヨタヨタと運んでいると、横から玲於の手が伸びてきて手が重なった。
玲「大切な指怪我されちゃ困るから」
『このぐらいで怪我なんかしないよ』
良かった、いつも通りに接することができる。
変じゃないよね、不自然じゃないよね、私。
そのまま玲於にアンプを取られてしまい、彼は1人で簡易スタジオの中に入っていく。
他の荷物を取りにいこうと振り返ると、涼太くんはむくれた顔でぴったり立っていて。
『び、っくりしたぁ … 』
涼「今のはちょっといけないんじゃないかな … 」
『え … ？』
涼「手のことっ！」
さっきまで玲於と重なっていた手を取って、そのまま涼太くんは指先にキスをした。
『ちょ … っ！？』
涼「妬けちゃうから、ね？」
そんな子犬みたいにウルウルした目で見つめられましても …
玲「変態王子」
部屋から出てきた玲於が、私たちの横を通り過ぎていく。
玲「あ、A気を付けろよ」
『な、なにを … ？』
玲「そいつ、意外とむっつりスケベだぞ」
涼「変なこと言わないでくれますか！」
玲「だって事実だし〜」
いつのも玲於の調子で、なんだかホッとした。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 99人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「GENERATIONS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あ - 誤字多すぎなんだけど萎えるわ (2019年11月10日 16時) (
レス) id: 75e9093654 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - okppp212さん» コメントありがとうございます！そうなんです、あの漫画モチーフで書かせて頂いております！大好きなんですよね...あのバンドが... (2019年10月16日 21時) (レス) id: e2489fa5d7 (このIDを非表示/違反報告)
okppp212(プロフ) - やっぱり好きな漫画のやつだ！ってこの章で発覚して楽しみで読ませていただいてます！がんばってください！ (2019年10月16日 21時) (レス) id: fb074e63b9 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - こじゃるさん» コメントありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年9月23日 0時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - 続きが気になります！更新頑張ってください！ (2019年9月23日 0時) (レス) id: f9de41481b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜天 | 作成日時：2019年9月11日 14時
