#３０ ‐RYOTA side‐ ページ30
．
ご飯を食べて満足したのか、2人は静かに眠りについてくれた。
… そう、ここからが勝負。
娘たちが起きないうちに、進められるだけ仕事を進めなくてはいけない。
急いで部屋に戻ってパソコンを立ち上げ直す。
途中だったメロディーにいくつもの音を重ねて完成させるこの作業は、神経を使うからできるだけ市静かな環境で集中して一気に仕上げたい。
そこから3時間。
これでもかってぐらい集中して仕上げた曲は、何とか形になった。
「終わったぁ … 」
椅子から転げ落ちるように床に転がり、一安心。
これで曲を送れば、この仕事は片付く …
「あれ … ？」
机の下にある棚に隠してあった楽譜の入った封筒。
ずっと封は開けずにいたはずなのに、封が開けられていた。
寝転がったまま封筒に手を伸ばして、久しぶりに楽譜を出そうと中を覗くと衝撃。
「ない … っ！？」
中に入っていたはずの楽譜の束は無くなっていた。
逆さにひっくり返しても出てくるわけはなく、周辺を探しても見当たらない。
「もしかして、沙耶と沙希 … ？」
子供部屋に行ってもそれらしいものは見つからず、楽譜は完全行方不明になってしまった。
子供たちが落書きして、そのまま捨てられたとか？
いや、Aのことだから確認する前に捨てるってことはないだろうけど …
… 今更、どうってことない楽譜なんだけど。
無くなったからといって、仕事関係の曲ではないし。
子供部屋で再度寝転がり、2人の寝顔を見つめる。
「Aにそっくりな寝顔 … 」
スゥスゥと小さく胸を動かして寝る姿は、僕が何度も見てきたAの姿を全く同じ。
お義母さん曰く、娘たちは小さい頃の彼女にそっくりだということを教えてもらってから、さらに愛らしさが増した。
もし、この天使たちが犯人だとしても責めることはしないし、怒ることもしない。
世の中に出ることのない曲なんだから、そんな焦らなくても良かったじゃないか。
きっと、あの曲はそうなる運命だったんだ。
今まで大切に仕舞っておいた方が可笑しいぐらいなんだから。
仕事の疲れからか、娘たちに釣られて眠気が僕を襲ってくる。
ダメだ、寝ちゃダメなのに …
そんな僕の淡い願いは、寝息と共に消えていった。
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夜天(プロフ) - こじゃるさん» ありがとうございます(^ω^) (2020年2月26日 17時) (
レス) id: e2489fa5d7 (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - 更新頑張ってください。 (2020年2月25日 22時) (レス) id: 2442b06a12 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - こじゃるさん» お待たせしてしまって申し訳ございませんでした...これからもどうかよろしくお願いします！！！ (2020年2月18日 14時) (レス) id: e2489fa5d7 (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - 更新待ってました。ありがとうござます！ (2020年2月17日 21時) (レス) id: 2442b06a12 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - 華凜さん» コメントありがとうございます！玲於ちゃんのお話は色々考えているので、投稿するまで待って頂ければ幸いです。 (2020年1月6日 19時) (レス) id: e2489fa5d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜天 | 作成日時：2019年10月18日 14時
