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──────────バタンッ
勢いよく冷蔵庫の扉を閉め、中から取り出した合いびき肉。
みじん切りにした玉ねぎと卵を混ぜて形を整え、油の敷いた熱いフライパンに乗せる。
パチパチと音を立てて焼けてくそれを見ながら考えるのは愛しい人のこと。
──────────『私、今度和くんのハンバーグも食べたいなぁ』
そんなこと言ってたっけ。
はっと我に返り、フライパンに蓋を乗せて皿を用意してちょっとした野菜を添える。
だめだ、やっぱり考えてしまう。
それが悪いことではないことぐらい分かってるけど …
「そればっかりだとダメなんだよな、A」
机の上に置いてある写真に向かってそう言う。
彼女が俺の前から居なくなって4ヵ月。
夏だった季節はすっかり寒くなって冬になっていた。
予定していたシングルの発売、そのシングルのリリースイベントの準備が忙しくて気付いたらこんなに時間が過ぎていた。
フライパンの中のものが焼けて2人分お皿に盛り付けて、一つを写真の前に出す。
「約束、遅くなってごめん」
ちょっと不格好かもしれないけど、俺のハンバーグ。
自分の分を席に置いて、冷蔵庫の中から缶ビールを2本取り、1本を開けながら彼女のところに戻る。
ビールをごくごくと音を立てながら体に流し込みながら椅子に座り、深く息を吐く。
「今度、上手く作れたら … 」
減らない料理をぼーっと眺める。
1人にはもう慣れたと思ったのに、ふとした時寂しくなる。
きっとAはこんな俺の料理でも『美味しい』って喜んで食べてくれるんだろうとか。
片付けられない散らかった部屋を見て『ちゃんと整理整頓しなさい』って怒ってくれるんだろうとか。
こんなことばっか考えてる。
こんなに俺の生活の中でAが大きな存在だったんだって思い知らされる。
自分のハンバーグを一口食べてみても、やっぱり彼女の作ってくれたあのハンバーグとは程遠くて笑えてくる。
「一人じゃ何にもできないのか、俺 … 」
フレームの中にいる笑ったAの頬をつついてみる。
「A … 」
名前を呼んでも返事は勿論なく、ただそこで笑ってるだけ。
でもほんの少しだけ、気のせいだと思ったけどAの顔が寂しそうに見えた。
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夜天(プロフ) - 玲さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、虹きみを読んで頂きありがとうございました！ (2020年1月6日 19時) (
レス) id: e2489fa5d7 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - meiさん» コメントありがとうございます！顔面をそんなにして頂いたなんて…ありがとうございます！ (2020年1月6日 19時) (レス) id: e2489fa5d7 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - 久しぶりに沢山泣きました。こんな感動する小説を書いてくださりありがとうございました (2019年12月14日 4時) (レス) id: cd190f001a (このIDを非表示/違反報告)
mei(プロフ) - 泣きすぎて顔面とんでもないことになってしまいましたw感動しました！ありがとうございました！ (2019年11月25日 15時) (レス) id: fd406e97dc (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - PEANUTSさん» コメントありがとうございます！その言葉が何よりの励みです！ありがとうございます (2019年5月29日 18時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜天 | 作成日時：2019年5月19日 22時
