#１０ ページ10
.
『優しいんですね、大野さん』
優しいのは、私がアナタたちの守るべき相手だから。
それを割り切ってしまわないと、今は平気でもきっと後々苦しくなる。
｢大野せ、ん、せ、い … な？｣
大野センセは黙々とお弁当を食べ進めているけど、耳は真っ赤。
ちょっと反応がかわいくて、口元が綻んでしまった。
2人肩を並べて日陰ができてる壁に寄りかかりながら食べる昼食。
櫻井さんに続いて、今度は大野さんの護衛。
のほほんとしてて頼りなさそうに見えるけど、私は知ってる。
あの会った時の目を。
｢ … なんか、付いてる？｣
いつの間にか見つめてしまってたのか、顔をペタペタ触りながら不思議そうにしてる大野さんに何でもないことを伝えるとふにゃって笑った。
｢あ、そういえば朝、大変だったんだって｣
今朝起こったことももちろん知ってた大野さんに色々話してると｢流石翔ちゃん｣と嬉しそうに笑った。
『天使の方々ってものすごく強いんですね … 』
｢まぁ、訓練してるし。それに … ｣
食べかけのお弁当を地面に置いて、立ち上がり掌を大きく広げるとそこに黒い粒子が集まりそれは鎌の形へと変わる。
｢元々強いから｣
青いピアスが太陽に照らされ、眩しく輝き目を細めると大野さんの着ていた白衣が大きく空へと舞う。
『ちょ … っ』
その白衣は、私の頭へと落ちてきてお化けの仮装のように重なった。
｢それ、被ってて｣
直観的に、嫌な感じがした。
大野さんの緊迫する空気と、声の鋭さ。
さっきまでの雰囲気とはガラリと変わった空気は、嫌でも肌で感じられる。
彼の言う通り白衣を被ってじっとしてるとあの時聞いた奇声が聞こえてブワッと汗が吹き出てくる。
また、ヴァンパイアが私を狙ってきたんだ。
この布一枚先では、大野さんが私を守るために戦ってる。
目を閉じていても、2回も見てしまったあの光景が無意識のうちに私を恐怖へ落としていく。
｢あ … くそっ！！｣
大野さんのその声と共に白衣が引き裂かれ、光が私を襲う。
その光の先から狂ったヴァンパイアが息を荒らげ、牙を向けてくる。
『ぃ、や … っ！！』
持っていたお弁当箱をヴァンパイアに投げつけその場からすり抜け、大野さんの後ろに抱きつくように隠れる。
｢わりぃ、もう終わらせるから｣
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 313人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜天(プロフ) - あやかさん» ありがとうございます！�△發修譴覆蠅棒瀋蠅聾任泙辰討襪里如�近々続編出すかもです！ (2020年11月20日 19時) (
レス) id: 29584efb35 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - つかささん» ありがとうございます！これからもドキドキさせちゃうので覚悟しててください！！笑 (2020年11月20日 19時) (レス) id: 29584efb35 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 初めまして。Twitterの方でもフォローさせていただいてます。私は牢獄のお化け屋敷が好きなので、次回作は�△�いいなと思います。第二部も楽しみにしています。 (2020年11月20日 18時) (レス) id: 9ed625666a (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - すっごく面白いです！！！5人に守ってもらう展開にすごくドキドキできます！第二部も楽しみです！応援しています！ (2020年11月20日 16時) (レス) id: 9731f00be7 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます！ (2018年8月10日 7時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜天 | 作成日時：2018年8月9日 8時
