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目が覚めたら、知らない天井。
真っ白で、横を見ればカーテンで仕切ってある。
鉛のように重い体が私に起こったことを思い出させる。
昼休みに音楽室で涼太先輩と話してて、そしたらいきなりクラクラしてきて …
倒れたんだ、私。
最悪、何してんだよバカ。
腕を額に乗せて再び真っ直ぐ天井を眺める。
あの後からどれだけ時間が経ったんだろう。
ブレザーが壁にかかってるのに気づき、ポケットに入ってるスマホを取ろうと身体を動かした。
でも布団が何か引っ張られて思うように動かず、その引っ張られてる先を視線で追うと …
玲於がベッドサイドに伏せて寝ていた。
涼太先輩が居るなら分かるけど、なんで玲於が … ?
何がなんだか分からず、ただこんがらがる思考。
でも … ずっとここにいてくれたんだとしたら、こんな嬉しいことはない。
手を伸ばして玲於の白い頬に触れる。
『あったかい …』
「 … 当たり前だろ」
寝ていると思ってた玲於が目を開けて、私を捕らえる。
『起きてたの … ?』
ごく普通に、動揺してるのを悟られないように。
「お前が布団引っぱったので起きた」
眠たそうに体を起こして、欠伸をしながら腕を天井に向かって伸ばす玲於。
「体調は?」
『そこそこ … まだだるいけど』
「熱は … ?」
何の躊躇いもなく、彼は私の後頭部に手を添えて引き寄せ、自分の額と私の額をくっつけた。
息ができない。
この時の私はどうかしてた。
伏せられた玲於の瞳をじっと見つめてたんだから。
「まだちょっと熱あんな … 」
離れようとする玲於のシャツを引っ張る。
『 … 近くにいて』
そう、全部熱のせい。
これは私であって、私じゃないから。
こんな私のことなんて笑って馬鹿にしてくると思ったのに、玲於は言う通りにしてくれた。
後頭部にあった手は髪も巻き込んで私の頬へと滑り、親指が唇に当たる。
「A … 」
『ん』
「 … Aが、欲しい」
答える暇はなかった。
2人の吐息は混ざり合い、保健室に響く。
玲於、こんなワガママな私を許して。
あなたを他の誰にも渡したくない。
2人の影が重なった時、カーテン越しにもう1つの影があったことに私たちは気づかなかった。
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夜天(プロフ) - 美心さん» 亜嵐くんの誕生日ですか!?羨ましい(泣)移行先でもよろしくお願いします! (2018年11月10日 9時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
美心(プロフ) - 私は8月4日に参戦して来ました!更新頑張ってください! (2018年11月9日 22時) (レス) id: 3a297c68b9 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - 佐野玲於の名無しのfanさん» ありがとうございます!まだまだ最後を迎えるのは先なので最後までどうかお付き合いください! (2018年10月16日 7時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
佐野玲於の名無しのfan(プロフ) - オチが気になる〜!!読み終わったとき心臓がキュンキュンします!続き頑張ってください! (2018年10月16日 0時) (レス) id: 24c1463825 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - あゆんさん» ありがとうございます!これからもきゅうってさせちゃいます!! (2018年9月30日 6時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜天 | 作成日時:2018年9月10日 23時