#15 ページ15
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『玲於、待ってって言ってるよ … ?』
「いい、気にすんな」
すごく不機嫌だ。
私の腕を掴んでる手に痛いほど力が入ってる。
朝の告白から、特に何も起こらない私たちの関係。
普通に学校行って、普通に授業受けて、普通に …
何も無さすぎてあれは嘘だったのかも思うほど。
でも少しだけ、彼が表情が柔らかくなった。
その原因、私分かるよ。
『バンド、辞めたんでしょ』
玲於の足がピタリと止まった。
ギターも持ってない、ヘッドホンもしてない、鞄に付いてたキーホルダーもなくなってた。
放課後もほとんど付き合ってくれなかった私の練習にも付き合ってくれた。
『 … 私のせいでしょ?』
昨日までと違いすぎて気持ち悪い。
玲於が玲於じゃないみたいで、私は嫌だ。
「んな訳ねぇだろ」
『そんなことある、絶対に』
「お前には関係ない」
『関係あるよっ、昨日の … 昨日の電話からおかしいよ』
腕を振り払い、声が放課後のガランとした校舎に響く。
『今の玲於は、私の好きな玲於じゃない』
彼がベースを奪い返し、横を通り過ぎてく。
後ろではきっとバンドのメンバーなんだろうなって人が玲於に「話し聞けよ」って怒鳴ってる。
私が好きだから、表情が柔らかくなったんじゃない。
バンドから逃げて開放されたからって、すぐわかった。
ごめんね、玲於。
私嘘でもあんなこと言いたくなかった。
でも、貴方から貴方の音を取り上げる資格なんて私にはないから。
貴方のことが大好き。
大好きだからこそ、そうしたの。
校門を出ようとした時、さっきの人と同じ制服を着た男の子が校舎を眺めてた。
この人もきっと玲於に用があるんだろうと思いながら、横を通り抜けようとした時。
「 … ベースやってるの?」
私の持ってたベースを見てそう言った。
『え … ぁ、そうです … 』
「そう」
それだけ言って、彼は中には入らずに帰ってしまった。
その人の背負ってたリュックには、玲於の付けてたのと同じ種類のベースのキーホルダーが付いてた。
『やっぱり … 、あの!!』
「ん … ?」
『私のことであなた達の仲を壊してしまって … ごめんなさい!!』
深く頭を下げても彼の返事はなく、足音が聞こえてきた。
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夜天(プロフ) - 美心さん» 亜嵐くんの誕生日ですか!?羨ましい(泣)移行先でもよろしくお願いします! (2018年11月10日 9時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
美心(プロフ) - 私は8月4日に参戦して来ました!更新頑張ってください! (2018年11月9日 22時) (レス) id: 3a297c68b9 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - 佐野玲於の名無しのfanさん» ありがとうございます!まだまだ最後を迎えるのは先なので最後までどうかお付き合いください! (2018年10月16日 7時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
佐野玲於の名無しのfan(プロフ) - オチが気になる〜!!読み終わったとき心臓がキュンキュンします!続き頑張ってください! (2018年10月16日 0時) (レス) id: 24c1463825 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - あゆんさん» ありがとうございます!これからもきゅうってさせちゃいます!! (2018年9月30日 6時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜天 | 作成日時:2018年9月10日 23時