UNTITLED【dcst夢】 (ページ3)

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「ち、ちょーっと待った！！」

じゃあ、と完全にスイッチが入った千空が少年に再度詰め寄ろうとする。
それを見かねたゲンが彼らの間に割って入った。
話の邪魔をするなと顔を顰める千空と、大人しい少年。
これではどっちが子供か分からないなと内心苦笑いした。

「服着てからでもその話、できるでしょ？」
「あ"ー、そういや石化解除したまんまだったな。」

千空の質問攻めにあっている間からずっとソワソワしていたと、質問の前にすべきことがあるだろうと説教をたれるゲンと、全くもって反省の色が見えない千空。
お説教タイムが始まれば、見ていられないと何名かがその場を離れていく。
そこまで長くはなかった数分間のそれが終われば、ころりと表情を変えたゲンが服を仕立ててもらいに行こうと提案した。

「千空ちゃんってば、服もなんも準備できてないのにお構い無しなんだから。」
「村ならば予備の衣類があったかもしれないが、取りに戻るには距離がありすぎるからな。杠に頼んだ方が早いだろう。」

子供であれど流石に全裸で歩き回るのは酷だろうというゲンの配慮によって、彼の羽織に身を包んだ少年。
子供には長すぎる丈を引き摺るまいと裾を抱えこんで歩くその姿にゲンは心を打たれた。
汚れることなんて気にしなくていいと言っても、借り物だからと、折角綺麗なんだからできるだけ汚したくないのだと一向に首を縦に振る様子がない。
もたつきつつも懸命に歩く少年にいてもたってもいられなくなり、その小さな身体をひょいと抱き上げた。
少年の口からわ、と小さな悲鳴が漏れる。

「よーっし、お兄ちゃんが運んであげよう！！」
「お兄ちゃんってタマじゃねえだろ。」
「というかゲン、その状態で杠の元まで辿り着けるのか？」
「コハクちゃん流石に舐めすぎだよ俺のコト。これくらいの距離ヨユー＿＿＿＿」

「＿＿＿＿余裕、では無かったのか？」
「や、やっぱり歩いた方が……」
「折角メンタリスト様がゴールまで運んでくれるっつってんだ。お言葉に甘えて運ばれとけ。」

千空が事情を説明すれば、杠は快く衣服制作を引き受けてくれた。
手際の良すぎる杠製の子供服は、数時間も経たないうちに完成した。
少年が袖を通しつつちらりと周囲を確認すると、未だ沈んでいたゲンを千空が叩き起している最中であった。
見てはいけないものを見たような気がして直ぐに目を逸らす。
どいひーと、弱々しい声が聞こえたが聞こえないふりをした。