【完】おやすみのキス【夏油傑】【呪術廻戦】

い ページ4

───この関係は随分と長く続いた。
そして分かったことは、やはり彼のキスが無ければ眠れない、ということ。


夏油が任務でいない日は何をどうしても眠れなかったし、いる日は100%と言ってもいい程の確率で眠れている。


何がそうさせているのかは分からないが、これが事実なのだから仕方ない。



だからといって私たちは特別調べたりもしなかった。
……その事実だけで十分だと思ったから。




でも、そんな日々への亀裂はあまりにも突然訪れた。






硝「……なぁ」

『ん？何？』

硝「お前、夏油と付き合ってんの？」

『……はい？なんで？』

硝「いや、夜中にお前の部屋に入ってくとこ見たからさ」

『あぁ…』



なるほど、見られてしまったのか。硝子はどちらかというと夜行性だし見られても可笑しくない。

むしろ、よく今まで見られなかったなとすら思う。



硝「夜な夜な逢い引きか？」

『違うよ。それに付き合ってもいないし』

硝「あれ、そうなの？」

『うん、眠らせてもらってるだけ』

硝「眠らせてって……何、落としてもらってんの？」

『落とす？気絶ってことなら違うよ、ちゃんと呪力で』



煙草を咥えたままケラケラと笑う硝子は、ますます分からない、という顔でこちらを見る。

……不眠症に悩む私に色々提案してくれた彼女には、このことを話してもいいかもしれない。


そう思ってしまったのが、多分良くなかったのだと思う。






『……おやすみのキス、してもらってるの』

硝「！」




全てを説明した。
話の途中、硝子は驚いた顔をして煙草の火を消したのが横目に映った。





『妹さんはこれですぐ眠ったんだって。
私も眠れたし、やっぱり夏油の呪力が……「ねぇ」』




硝「………あんたそれ、騙されてるよ」

『え？』



硝「……夏油に妹はいない」

夜→←な

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