【完】角名倫太郎の５つの噂【角名倫太郎】

＊ ページ18

『……ね、絵美ちゃん
角名くんのこの噂…知ってる？』


絵「ん？」


『……”角名くんは、昔の初恋を拗らせているらしい”』


絵「………知っとるよ、ちょっと前に出てきた噂やんな」


『拗らせてるってことは、まだその子のことが…好きってことだよね』


絵「言葉の意味的には…そうなるな」


『……私、からかわれただけだったのかな』




その子との恋が上手くいかないから、私で遊んでただけなのかもしれない


可愛いって言ったり、手を握ったり

その子には出来ないから、私で我慢してたのかもしれない






絵「……昔の初恋…か
な、Aってどこ出身やったっけ」


『え？
──だけど…それが何？』


絵「………いや、確か角名もそこやったような気ぃするんよ」


『…でも私、角名くんに会ったのはここが初めてだよ』


絵「せやんな…」




『………誰なんだろ、昔の初恋の人って』


絵「…まぁ、たかが噂やし、あんま考えん方がええで、な？」


『うん……』




もし、その初恋の子が今でも好きなら
私は角名くんの邪魔はしたくない

……でも、好きになっちゃったんだよなぁ









翌日、いつも通り登校して席で携帯をいじっていると教室の扉が大きな音を立てて開いた


少しざわついていた教室内が一気に静かになり、音の出処にみんなが視線を向ける


そこには、朝練を終えたであろう銀島くんと…侑くんがいた

そして、扉を開いたのは侑くんだ






侑「………何見とんねん」



イラついているのか、視線を向けるクラスメイトに低い声でそう言い放ち、ドカッと席に座った

一瞬目が合ったけど、気まずそうにすぐ逸らされてしまった

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