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＿＿＿
2人で、この道を歩くのは久しぶりだった
だけど、あの頃みたいに隣は歩けなくて
その背中の3メートルくらい後ろを、ぼーっと歩いた
結局、彼とは1度も目を合わせなかった
きっともう、彼と話すことはないだろう
もう一度、ごめんねって言えたら良かった
ユウちゃんにも、あんな無理に笑わせないでもっと怒ってもらえばよかったのかもしれない
もう、遅いけど
何もかも、遅いけど
3メートル前の背中が止まった
私も足を止めた
家の前だった
『.....じゃあ、ね』
あれから1度も声を発さないその背中に、ただそう告げた
本当はもっと言わなくちゃいけないことはたくさんあるけど、もう涙を貯めてくれる場所は身体中探してもどこにもない
今すぐにでも溢れ出てしまいそうだったから
誰かの前で泣く権利、私にはないから
「A、」
玄関の方を向いた時、名前を呼ばれた
『な、に、？』
見たことのあるポーズ
両手を広げこちらを見る湧は、強ばってた頬を少し緩ませ眉を下げた
「泣くの、ずっと我慢してたんだろ？」
『っ、...』
「もういいよ、泣いても」
湧のその言葉を聞き終わる前に、あっという間に溢れ出した涙
この場から動けない私を、湧は
ったく、ってちょっと呆れたように優しく包み込んだ
抱き締められたのは、2回目だった
『っ、...わ、く、』
「ん、...よく堪えたな、」
湧の大きな手が小さな子を宥めるようにグシャグシャと、髪を撫でる
彼より厚い湧の胸に安心して
優しい声と暖かい手に安心して
声が枯れるまで泣いた
『......わく、ごめん...ごめんね、』
「...ばーか、オレもうごめんなんか欲しくねーよ」
湧がくれた好きを、思い出した
ちょっとだけ、気持ちまで暖かくなった気がした
『わく、』
「ん？」
湧の胸をそっと押し返し、涙で歪む視界の中で
真っ直ぐ、彼の目を見た
『......ありがとう』
色んな意味を込めたありがとう
湧には全部、伝わっただろうか
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ucst0307(プロフ) - きいさん» 完結おめでとうございます！めちゃくちゃ面白かったです😭何度も読み返します！！ (2021年12月22日 0時) (
レス) id: f62ccc5a63 (このIDを非表示/違反報告)
きい(プロフ) - ucst0307さん» お返事大変遅くなってしまいすいません🙇♂️とても嬉しいお言葉ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけていたら嬉しいです(^ ^) (2021年12月19日 16時) (レス) id: 5fec2377c4 (このIDを非表示/違反報告)
ucst0307(プロフ) - コメント失礼します。今一番楽しみにしている作品です！^ ^これからも楽しみに更新待っております♪ (2021年11月15日 0時) (レス) @page39 id: f62ccc5a63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きい
| 作成日時：2021年9月25日 0時
