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*
彼に手を引かれるまま来た道を歩く
部屋に着くまで、ずっと握られていた手は部屋の真ん中で名残惜しくも離れていく
「ん、」
『え...？』
振り返った彼は長い両手をパッと開いた
「来た時からずっと、泣きそうな顔してる
......てか、来る前から泣いてたでしょ」
『っ、』
「だからほら、おいで？」
その一言に、吸い込まれるように彼の胸に飛び込んだ
引っ込んだはずの涙はまた、思い出したようにボロボロとこぼれ落ちて、彼の水色のアウターにシミを作る
トントン、と優しく背中をさする彼が温かすぎて
さっきまで誰と居たとか、どうでもよくなった
「...今日はやれないから、これで許してね、」
『ん、...』
そりゃそうだ。
だってさっきまで彼女が家に来ていたんだもん。
そのあとすぐ別の人と、なんてさすがにしないだろう
分かってたし、元々そういうつもりで来たわけじゃないのに
なんだかその言葉にまた、涙が溢れる
『......すき、』
「うん、知ってる、」
『好き、なの...』
なぁに、どうしたのって、へらりと笑う彼は私の体を離すと、いつもみたいに顔を覗き込む
"颯太が好きなのは、ユウなんだよ"
さっきの、湧の言葉が私の頭に響いた
そんなの知ってる、だってあの子は彼女で私は浮気相手
私は好き、って何度も伝えてるけど、彼は絶対私に好きなんて言わないことも、気付いてる
なのに、急に悲しくなって、こんなに近くにいるのにって
「...、！」
＿＿＿初めて、自分からキスをした
背の高い彼に、背伸びして、ただ押し付けるだけの子供っぽいキス
「Aちゃん...？」
『......わくに、バレた、』
「え、？」
『この傷のことも、颯太くんとの関係も、...全部っ、』
必死に隠してたもの、全部バレちゃった、
なんだか言葉にしたら、ちょっとだけ心が軽くなって
全身の力が抜けたようにその場にしゃがみこんだ
『ごめん...颯太くん、ごめんね...？』
「......ん、大丈夫だよ、」
私を包み込むように抱き締めた彼は
大丈夫、と私にも、自分にも言い聞かすように呟いた
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ucst0307(プロフ) - きいさん» 完結おめでとうございます！めちゃくちゃ面白かったです😭何度も読み返します！！ (2021年12月22日 0時) (
レス) id: f62ccc5a63 (このIDを非表示/違反報告)
きい(プロフ) - ucst0307さん» お返事大変遅くなってしまいすいません🙇♂️とても嬉しいお言葉ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけていたら嬉しいです(^ ^) (2021年12月19日 16時) (レス) id: 5fec2377c4 (このIDを非表示/違反報告)
ucst0307(プロフ) - コメント失礼します。今一番楽しみにしている作品です！^ ^これからも楽しみに更新待っております♪ (2021年11月15日 0時) (レス) @page39 id: f62ccc5a63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きい
| 作成日時：2021年9月25日 0時
