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ばたばたと何かが走ってくる音と共に開いた扉から小さな子供達が姿を見せた。小さな少年は二人の顔を見比べると首を傾げる。
｢ おきゃくさま? しすたーはおでかけちゅうだよ。｣
宮舘が少年の前にしゃがみ両膝をつくと、宮近の持っていたメモを奪い取りそれを少年にみせた。
｢ 髪が白くて、足がながい捜査官のお仕事してる人っていてる? ｣
宮舘の問いに子供達は頷いた。
｢ おにいさまならかっこいいおようふくきておでかけしたよ? ｣
そういった少女に二人は顔を見合わせた。
｢ 入れ違っちゃいましたね。一回戻ります? ｣
｢ それかもうアカデミーの方行ってるとかじゃないかな。｣
｢ あー、そうかも。そっち行ってみますか。｣
宮舘は少女の頭に触れると軽く撫でた。
少女の桃色に染った表情に宮近は真顔を貫いた。
｢ 教えてくれてありがとう。｣
アカデミーへ向かおうと踵を返そうとした二人の後ろを見た少年が明るい声を上げた。
｢ あ、しすたー!!!おかえりなさい!! ｣
｢ ただいま、お客様ですか? ｣
シスターは二人の姿を見回すと羽織の内側に手を入れた。出されるであろうものを察したであろう宮近は両手を軽くあげると身を引いた。
｢ 貴方にも子供達にも何もしませんよ。私は宮近準特等捜査官。こちらは宮舘上等捜査官。本日よりアカデミーの講師に着任される方を迎えに来ただけです。物騒なことは辞めましょう。子供達も、見てますよ。｣
落ち着いた宮近の声にシスターは手を出した。
それは何も握っておらず、隣にいた宮舘は軽く息をついた。シスターは落としていた姿勢を元に戻すと二人の間を通り抜ける。子供達を中へ追いやると二人を少し睨みつけるような視線を向けたシスターが冷たい声で告げた。
｢ あのこ、真都ならアカデミーに行きましたよ。｣
大きな音を鳴らして閉じられた扉を見た二人は明らかに安心したように大きく息をついた。
扉の中で呟いた言葉が二人に届くことは無かった。
｢ 何が捜査官よ、この子達からも私からも海人を奪ったくせに。｣
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作者名：夏向 | 作成日時：2020年7月19日 11時
