【文スト×サーヴァンプ】中原(妹)、家出しました。

番外編◆おつかい其の伍 ページ44

暫く歩いたところで私は立ち止まる。


「そう云えば、もうヨコハマは満喫したの？」

「まだです…」

「何だ、案内でもしてくれるのか。」


まだか…。

案内は出来ないけれどお勧めの場所くらいは紹介出来そう。


丁度御園が地図を持っているらしく、見せて貰う。


「帰りは？」

「明日の午前中には帰ります。」

「そう…今日1日で回るんだったら、此の辺かな。」


指で道の確認をしながら順番を教える。

中々充実する1日になると思う。


私もまわったなぁ…もう随分前の話になるけれど。

最近は忙しくて散歩とかしても近場しか回れない。


「こんなもんかな。さて、今度こそ私は行くね。」

「おい！」


なぁに？と自分でもびっくりするくらい優しい声で返事をする。

疲れてるのもあるけれど、こうして話してくれて嬉しいんだと思う。


銃口向けるなんて酷い事したのに。


「また…何処かで会えるのか…？」

「…。」


分からない、そう云おうと思ったけれど口を閉じる。


「…うん、また何処かで会えるよ。」


確約は出来ない。


マフィア何てやってる訳で、何時死ぬのかすら分からない。

もしかしたら今此の場で、とか…明日とか。

私は生きてないのかもしれないんだから。


でも、まぁ…偶には良いかもね、こう云う事も。



今度こそ2人と別れて、ポートマフィアのビルへ向かい歩き出す。


部下からのメールを確認しながら道路沿いを歩いて居ると後ろからクラクションが聞こえ、隣に見慣れた車が止まった。

兄様の車。


「よう、本部戻んのか？」

「うん、そう。さっき頼まれたもの買い終わったから…」

「俺も戻る処だから乗れ。」


お言葉に甘えて、助手席に乗り車に揺られる。

今日あった出来事を話しながら窓の外を眺める。


午後2時。


まだこんな時間だけれど、今日は中々濃い1日だったなと目を閉じた。



(…寝てる…最近仕事続きで疲れてんのか…。ま、暫くは寝かせてやるか。)

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