3話 ページ4
『あれ、今日はグルッペンくんしかいないの？』
「いや、他のやつもそのうち来ると思うぞ」
『あ、そうなんだ』
たしかゾムは来るとか言ってたような。
『あ！ねね、ちょっとグルッペンくん聞いて』
「ん」
『私昨日ね、沢田くんたちに放課後食べ歩きしようって誘われたの。
今までの私なら、今日はいやだなって思っても「いいよ」って言ってたんだけど。
…あの日、グルッペンくんと話してから、断ってもいいのかなって思うようになって、私昨日は誘いを断ったんだ』
「……そうか。言えてよかったな」
周りの人や、俺のようなやつからすれば、これは当たり障りのないことかもしれないが、彼女にとっては、とても大きな進歩だ。
Aは、変わろうとしているんだろうか。
『グルッペンくんってそんなふうに笑うんだね』
「え、笑ってたか…？」
『うん！なんか、優しい笑顔だったよ』
気づかないうちに、俺はAに対して笑顔を向けていたらしい。
気恥ずかしさに包まれる。
『心配してくれたのかな…。ありがとう』
「…まぁ心配はしているが」
『あはは！ふふ』
楽しそうに笑う。
「何がおかしいんだ！」
「いやぁ？」
「おつ〜」
「お疲れ様〜。
なんや、あんさんら随分と楽しそうやな」
「えっ、え！ん？なに、2人いつの間に仲良うなったん？！」
タイミングを図るように、ゾムとロボロが生徒会室に入ってきた。
「別になんでもええやろ」
『素直に仲良くなったって言ってくれていいんだよ』
「断る」
急に小悪魔になりやがって。まさかそんな片鱗を隠し持っていたとは、やはりまだペルソナは見破れんな…。
負けてたまるか！
『ひど！ありがとうって言って損した』
「え、ほんまどうしたん？
あー、その〜、言っちゃ悪いかもしれへんけど、お前ら前までそんな仲良うなかったやん」
「いろいろあったんだよ」
「えー！めっちゃ気になるやん！」
『いいからいいから、はやく終わらせて帰ろ！』
「うーん」
細かいところは、彼女も話すつもりはないみたいだった。
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作者名：煽田 -アオタ- | 作成日時：2022年6月19日 21時
