骨の髄まで愛を知れ (ページ2)

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「きょ、兄弟？このチビと？私が？」
「はい！」
「はァ！？ふざけるのもたいがいにっ…！」

ふざけてなどいない、大真面目な顔つきで返事をする彼女に小柄な男性は声を張り上げた。すると、彼女と男性の視線が交わり、自然と声はしぼんでいく。

「…ちなみに、どっちが兄？」
「？貴方がお兄さんで、こちらの男性が弟さんですよね？」

ふざけてはいない。
彼女はふざけてはいないのだ。
大真面目なのだ。
現に、彼女の頭の上に疑問符が浮かんでいた。

「ぶふっ…よかったね、中也。私の弟だってさ」
「はァ！？っざけんな！手前の弟だとか死んでも嫌だわ！」
「おや、それは私のセリフだ。取らないでくれるかい？」
「あ、あの…？」

行き場のない、彼女の手はひらりひらりと忙しそうに泳ぎ続ける。男性は彼女に一瞥を与え、にこりと笑った。

「まさか、お嬢さん。このチビと兄弟だなんてありませんよ。死んでも嫌ですね」

表上は紳士な笑みであったが、その瞳の内奥は笑っておらず、本当に嫌なようだ。
彼女はすみませんでしたと、大きく声をあげ、頭を下げる。男性は何も大丈夫ですよと笑みを繰り返し浮かべているが、小柄な男性は照れ臭そうにそっぽを向いていた。

「頭を上げてください」

彼女は恐る恐るといった表情でゆっくりと頭を上げる。耳からかけていた髪の一部が滑り落ち、地へと流れる髪。彼女は髪に手を通し、さらりと耳にかけた。

「っ…」

息が詰まった。彼女の一つ一つの仕草に色気が漂っており、男性は分かりやすく瞠目した。

「どうしたんですか？」

彼女は何度も目をしばたいた。
男性は一度、目線を下におろし小さく何でもないよと呟いた。