傷が7箇所 ページ7
『え…』
声と同時に私の腕の中から桜吹雪が舞った。
いや、正確には腕の中にあった刀の中から
桜吹雪が収まって中から出てきたのは
真っ白な刀剣男士で
瞬く間にロープを切り落とした。
｢よっ、俺みたいな鶴が出てきて驚いたか？｣
『鶴…さん？』
｢！…そう呼ばれるのはいつぶりかな…｣
彼はふっと笑った。
あまりの綺麗さに見とれるが
今はそれどころではないのだ。
私はロープが切り落とされて一緒に落ちた刀剣男士に駆け寄る。
『大丈夫ですか！？』
｢…！ゲボっ、ゴホッ…たか……｣
『…？』
私が驚くよりも早く、彼は…陸奥守さんは私に掴みかかった。
｢また来たのか…！わしはもう人を殺しとうない！立ち去れ、ここから…！｣
『…！ぐぅ…』
肩を掴む彼の手が痛い
『…私はどうしようも…』
出来ない。
立ち去る権利は持ってないのだ。
ここを乗っ取るまで
現世に帰ることも
屋敷の外に出ることも許されない
｢…殺しとうない、でも自分は死ねない。
自分に傷をつけても、
麻縄で首を吊っても…
…いっそのこと殺してくれ…。｣
『…』
彼の心からの悲痛な叫びだった。
彼を殺したら
彼は喜び、無駄な犠牲者は出なくなるだろう。
でもそんな喜びも、
安心も欲しいとは思えない。
『…陸奥守さん。死にたい、なんて言ったら
駄目です。
顔を上げて、
きっと生きてて良かったって思える事があります。
貴方が居なくなったら悲しむ人がいると思いますから。』
彼はそれにつられて顔を上げる。
私はちょっと台詞が恥ずかしかったかな…と
頭の中で復唱するも彼の綺麗な瞳に
吸い込まれそうな感覚を覚え、復唱を止める。
それでも、彼の瞳はどこか遠くを見ている気がした。
｢…鶴丸…和泉守…堀川…｣
いつの間にか二人も来ていたのか
見守っててくれたみたいだ。
｢見習い…｣
『はい』
呼ばれて驚く
何となくだが取り乱しては行けない気がして、
平然を装う。
｢今回…審神者からの言霊は来とらん、
おんしゃらは自分の意思で来た…
でも、審神者からの言霊が来て、わしが襲い掛かったら容赦なく殺せ。｣
『…』
はい、なんて言わない。
でもいいえ、とも言えない。
これは彼の決意であり、希望だからだ。
それを無下にはしたくない。
私は肩を掴んだままの
陸奥守さんの頭を撫でる。
『また、会いに来ますね。』
｢…もう、来んでええ……｣
陸奥守さんの声は震えていた。
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swordANDsnow(プロフ) - ふとこの作品を思い出して読み返していたら続きが出来ていて思わずコメントさせて頂いてます。続編もとても面白かったです！素敵な作品をありがとうございました！ (2021年2月18日 0時) (
レス) id: fdeff6bc25 (このIDを非表示/違反報告)
そら猫(プロフ) - トゥクルカさん» 尊敬！？…に応えられるよう完結まで走ります！呼びやすかったですか笑それじゃあお任せします！（丸投げ） (2019年3月17日 22時) (レス) id: f5d23f9547 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - そら猫さん» おお、そんなに経つのですね…！皆さんお忙しいと思われるので時間の感覚が…なんて笑 最後まで見届けますので！あと姫様って呼びやすくて(失礼)…尊敬に値するので姫様ですっ（´-`） (2019年3月12日 0時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
そら猫(プロフ) - トゥクルカさん» 一年ぶりですすす！？まだ見てくれるとは…！！めっちゃ嬉しいです！お久しぶりです！またよろしくお願いします！様なんて勿体無いのでつけなくていいですよ！笑 (2019年3月11日 16時) (レス) id: f5d23f9547 (このIDを非表示/違反報告)
トゥクルカ(プロフ) - ひめ゛さま゛ッッ(号泣)おかえりなさい！通知来てて飛び跳ねましたぞ()！ (2019年2月28日 1時) (レス) id: 77391b8609 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：姫猫改めそら猫 x他1人 | 作成日時：2017年11月17日 21時
