Taisuke LIVE TOUR 2023 in ARENA FK ページ27
Kside
『なんで会いに来てくれなかったの？』
幼馴染のライブに行った帰り道。そんなメッセージが張本人から来た。
俺の後ろでtaisukeの話をしながらタクシー待っている女子は、まさか目の前の俺がtaisukeと連絡を交わしているなんて、思いもしないだろう。と、得意げになる。
『会いましたけど？』
『あんなの会ったって言わないよ』
おいおい…会場にいた全ファンが泣くぞ。
俺は楽屋に通されていたが、その時ちょうど不在で、差し入れだけ置いて去った。
そもそもチケットも用意すると言ってくれているが、俺はいつも自分でチケットを取って周りはほぼ女子だらけの中、いつも1人で参戦している。
『今回席遠かったから、そっちからは見えなかったかもなー』
『そうだよ。探したのに。ていうか、関係者席通すって言ってんのに』
『大丈夫です』
俺は、幼馴染でありtaisukeの1番のファンであるから。
同担？もちろん拒否ですよ。
だって俺、リアコだからね。
・
「…藤ヶ谷さぁ、疲れてるだろ。家帰れよ」
「北山が来なかったから悪い」
「だからー行ったっつーの」
自分の家のように、俺の家でソファに寝転がる藤ヶ谷はまた、そんなの行ったって言わないなんてアイドルさながら酷いことを言う。
今は部屋着で前髪もちょんまげのように括られている藤ヶ谷は、さっきまでデカい会場でキラキラした衣装を着ていたtaisukeだ。
「グッズあげてるのに、買ったの？」
「…っ！おい！勝手に探んな人の家！！」
「しっかりファンじゃん〜」
「…そうだってずっと言ってんだろ」
「俺は北山のヲタクしちゃおっかな〜？」
こっちは包丁を使っているというのに、藤ヶ谷がそんなふざけたことを言いながら、俺の肩に手を置いて顔を覗き込んでくる。
「何くだらねーこと言ってんだよ」
「割とガチ」
「離れろ」
「あれ北山、なんか痩せた？？」
「………太ったから戻してるだけ」
ささみを切りながらそう言う。
ライブがあるからダイエットしてるなんてとても言えない。
「ふーん？そのままで良かったのに」
「おい触んな！あぶないっつーの…」
むにむにと俺の横腹を揉んだ藤ヶ谷が、くすぐったがる俺を面白そうに笑うとやっと離れた。
至近距離は緊張するからやめてほしい
なんて幼馴染で男同士なのにおかしいだろうか。
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作者名：櫻弓 想
| 作成日時：2023年2月12日 23時
