・ ページ18
Kside
ここまできたらイライラしてくる。
こっちは離れようと必死なのに、なぜそんなこと言ってくるんだと。まぁ、この夜を誘ったのは俺だが。
「少し困ること言っていい？」
「なんだよ」
「怖い思いして欲しくないし…それ以前に、俺以外の奴と北山さんがしてるって思うと嫌で」
「……は？」
言われなくても、この間の夜以外にそんなことはしていないが意味がわからない。
お前にとっての俺は縛られるような存在ではないはずだ。
「何言ってんの？お前だって、女とも遊んでるだろ」
「分かってるよ…北山さんにとってこれは遊びだって。でも俺、今は他の人と遊んでない」
「…わかってねーし、俺は前見たんだよ。お前が改札で女と抱き合ってるところ」
弄ばれていると思うと、惨めな自分が嫌で嫌でどんどん口調が強くなる。
「…あの時居たの？」
「たまたまな」
…なんだよ。
バレてないと思ってこんな意味わかんねえ事言ってきやがって。こいつにも、こんな奴を好きな俺にも腹が立つ。
「…あれは、好きな人が出来たからもう会えないって言われたら、抱きつかれたの」
「…どっちにしろだろ」
お前に、好きな人つっーのがいるのなら。
「好きな人は北山さんだよ」
俺…今なんて言われた？
「だから俺今、北山さんとしかこういうことしてないよ。今日も遊びって思われるのが嫌で、ご飯だけって思ってたんだけど…誘われたら断れなかった。好きだから」
「何言ってんの…」
「ごめんね。面倒だよね、今日を区切りにもう会わないから」
違う…違う。
「何言ってんの」
起き上がり、藤ヶ谷さんと目を合わす。
藤ヶ谷さんは驚いた顔で固まった。
「会おうなんて約束するの藤ヶ谷さんだけだよ。一回きりじゃないのも、連絡を取るのも、ご飯行くのも、全部藤ヶ谷さんだけ。だから、今日を区切りとか言うなよ…」
「ほんと、に…？」
隣に座った藤ヶ谷さんに腕を緩く握られる。
こくりと頷くと、ゆっくり引っ張られて抱きしめられた。
「もう他の人と遊ばない？俺だけでいいの？」
「…俺はずっと、お前だけで良かったよ」
「付き合って、北山さん」
その言葉に俺はキスで答えた。
END 2023/03/18
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：櫻弓 想
| 作成日時：2023年2月12日 23時
