毛布の中 TK ページ27
Tside
「あれ…」
楽屋へ着くと、ガヤの姿とミツの荷物。
荷物しかない。ミツがいない。
どっか行ったのか？と立ちすくんでいると、ガヤに無言で楽屋の奥を指さされた。
その方向をよく見ると、ソファの上、ただ置かれてるだけに見える毛布の中にミツがいた。
ミノムシみたいにほぼ全部包まってる。
そっと近付き覗き込むと、毛布から辛うじて見えている目がゆっくり開く。
頭にもかぶさる毛布を少しめくっておでこに手を当てると熱かった。
「…おはようたまちゃん」
「おはよう。大丈夫？じゃないよね」
「んはは。だいじょーぶよ」
「どっか痛いとか、辛いとか…」
「へいきへいき。眠いだけ」
「そう…ごめんね、起こして」
ううん、と笑ったミツの頭をポンとしてから毛布を戻してやると、すぐに寝息を立て始めた。
昨日、メールの返信が遅くって、夜何となくミツの家で勝手に待ち構えていたらフラフラで帰ってきた。
どうしたのって弱々しく笑うから、そんなことだろうと思ったって迎えた。
今日ミツは午前から仕事で、午後から全員で収録が入ってた。
そのままこっちへ来て、早めに着いたから毛布に包まってたのだろう。
1日中の仕事を乗り切るのは辛いだろうから昨晩できる限りの看病はしたけど、治らなかったみたい。
「んーけほっ、けほけほっ！」
毛布の中の塊が、苦しそうにモゴモゴ動く。
寝てるのか起きてるのか、頭だけ毛布から出てくる。
前髪が汗でぺたりと張り付いていた。
息苦しそうなのも、マスク越しだが伝わる。
にしても…気の毒だがそろそろ起こさないと。
もうミツ以外はとっくに着替え終わってる。
そろそろ動き出す時間だ。
「みつー起きられる？」
「んー、うん…」
まだ寝ぼけているような声。
辛そうに閉じられていた目が開くと、熱にうなされてウルウルとしていた。瞬きで一滴涙が落ちる。
ノソノソ起き上がって、はぁと一息吐いた。
タオルを渡すと汗を拭いて重い腰を上げた。ゆっくりゆっくり着替えている。
ヘアメイクを終えると、まるでいつものミツだった。
「熱いね」
「へへっ、メイクさんにも驚かれちゃった」
「無理しちゃダメだよ」
ハーイと緩く返事される。分かってるんだか。
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ちび(プロフ) - めっちゃ良いですね、藤北、から検索で来ました、ツイッターもリクエストさせてもらいました⚪︎何気ない藤北、めっちゃ好きなんです、ドラマのは私も妄想してたんでめっちゃ読んでてニヤニヤしちゃいましたわ🤭素晴らしいですね (2023年3月16日 13時) (
レス) @page33 id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻弓 想
| 作成日時：2023年1月15日 21時
