ビターシンドローム

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Fside


今日は午後から7人で雑誌の撮影だった。

だから空いてる午前に病院に行かせたのだが、その雑誌撮影が延期となった。


北山が胃潰瘍だったらしい。


北山の家にいた俺は、休みになったため、そのまま北山の帰りを待った。


「…ごめんね」

北山の第一声は、それだった。


「一体いつから我慢してたの」

「んー…舞台終わったくらい？」

「はぁ…だいぶ経ってるじゃんか」


へへっと北山は笑った。

ごめんねはこっちのセリフだ。
…なんで気付けなかったんだろう。


「…放ったらかしてごめん」

「そんなこと思ってないよ。
でも…昨日、なんで急に来たの」

「なんか、渉に注意喚起されて…」


あぁ…って北山が暗い声で言った。


「いや、言われて仕方なく来たとかじゃない」

「あ、違う…そうじゃなくて…」



Kside


毎日キリキリと痛む胃に悩まされていた。

特に空腹時と食後。食べなきゃ痛むから食べたら食べたで痛い。吐き気もあった。


先月、誰もいないと思って、ヨロヨロと局のトイレから出て来たところ横尾さんに捕まった。

そこで、あまりにも心配してくる横尾さんが、なんだかお母さんみたいで思わず…。


「俺、藤ヶ谷のこと横尾さんに愚痴っちゃった」

「愚痴？？」

「好きなの俺だけなのかなとか、もっと会いたいって…。
それで、横尾さん藤ヶ谷に吹き込んだんだと思う」


しばらく黙ってしまった藤ヶ谷が、俺のお腹に手を当てた。


「痛い？」

「…まぁ、」

「これからは愚痴らないで。俺に直接言って。
…でもごめん。悩ませて」

「ううん…」


横に座る藤ヶ谷の太ももに頭を下ろす。


「藤ヶ谷…痛い、」


俺ももっと正直になるべきだったと反省した。

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