ラブストーリーは甘くない《紫》 (ページ28)

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切れた電話を持ったまま、うなだれる。

はーーーーーーー。

大きなため息をつくと、真冬の非常階段で冷え切った体がブルッと震える。

俺はダサい男か。。

背中を丸めてデスクに戻り、Aからもらった紙袋を見つめる。

周りの男よりちょっと自分の方がモテる自覚があった。

中学生の時からずっと、告白されては付き合って。

ちょっと仲良くしてたら、あっちから告白してくるんだもんな。

同じような調子で高校、大学と過ごして、大人になった。

Aは、入社してすぐから気が合う仲間だった。
俺の馬鹿みたいなノリにもついてきてくれるし、ふざけ過ぎたら怒ってくれた。

気がついたら、Aのこと目で追ってて、Aのことをたくさん考えるようになって。。。

好きなんだと気づいた。

ふたりきりでよく飲みに行ったし、Aも俺のことまんざらでもない感じだったと思うけど、

Aからは何のアクションもない。

普通ならそろそろ言ってきてくれてもいいはずじゃん？

だって、俺のこと好きでしょ？

俺はAからの告白を待っちゃってた。だって、

自分からいったことないんだよ、俺。

ここへ来て経験値の無さが露呈して。

想いを打ち明けるってことができずにグズグズしてるうちに、Aは急によそよそしくなった。

その態度の急変に、訳もわからぬまま名古屋に転勤になって。

「さ、帰るか」

紙袋をバッグに入れて会社を後にする。

しかし、なんで絵里奈はAのこと知ってんだ。。。？おれ、寝言でも言ってたのかな。。

駅への道を急ぐ。

Aに俺を振ってくれるように頼んだ、って。。
じゃ、Aは俺の気持ち、知ってるってことか？

まぁ、とてつもない鈍感ちゃんじゃない限り、すでに俺の気持ちなんて伝わってるだろ。
あんだけわかりやすくしてんだから。

Aは俺にとって特別。

好きだと伝えられずに過ごした3年間はダテじゃない。

今度はちゃんと、言わなくちゃな。