ラブストーリーは甘くない《紫》 (ページ27)

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⑭ Fukazawa side ページ27

〈じゃ、金曜日にね〉

Aとのやりとりを終えると席を立つ。

Aと飲むはずが先約があったと断られて、残業しながら次の返事を待ってたけど、やっと返事も返ってきたし、今度の約束も取り付けられたから帰ろう。

カバンを手に取ると中に入れていた小さな紙袋が目に止まる。

あぁ。。今日Aがお礼にってくれたやつ。。

何気なく取り出して開けてみると、靴下が２足。

１足はスーツに合わせられるような落ち着いた色味のもの。

「ぷっ、」

なんだよコレ。

もう１足はよく女の子のポーチとかについてる可愛いキャラクターのくつ下だった。

手に取ってみると、どうやらちゃんとメンズサイズらしい。

A、相変わらず変な女だな笑

そんでもって、相変わらず、可愛い。

RRRRRR

くつ下を見てにまにましていると着信が。

「。。絵里奈？」

会社だし、長くなりそうだし、あとでかけ直そうとも思ったけど、何故かすぐ出なくちゃいけない気がして、非常階段に向かいながら電話を取る。

『もしもし？』

『あー辰哉？今東京来てる。さっきAさんに会ってきた』

『えっっ！！！？』

思ったより大きな声が出たから、非常階段でよかった。

『Aさんに辰哉のこと振ってもらおうと思って会いに行ったの』

『。。。なにそれ。。なんでAのこと知ってんの？。。それに。。振ってもらうとか。。どういうこと？』

驚きのあまりやっとのことで声を絞り出す。

『Aさんが辰哉のこときっぱり振ってくれたら、わたしのところに戻ってくるかと思って。。』

何を言ってるんだ？
そんなわけでないだろ？

『でも。。ダメだった。そんなことできませんって断られちゃった。。でもそれで諦めがついたの。辰哉、電話するのもこれが最後だから。もう付きまとわないし。ありがとね。じゃ、』

『絵里奈？えり、ツーツーツー。。
電話が一方的に切れた。

。。。なんだったんだ。。

もう一度電話をかける。
するとすぐ繋がった。

『。。。なに』

『いや、ごめん。。Aの名前出てきてちょっと混乱したけど。。気をつけて帰れよ。俺の方こそありがとう。。』

もっと言うことはあるはずなのに、どうも言葉が出てこない。

『この期に及んで優しくしなくていい。それとね、辰哉何年片思いしてんの。早く告白しちゃいなよ。なんかダサい』

『。。。。。』

『じゃあね。もう電話してこないで』