ラブストーリーは甘くない《紫》 (ページ26)

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「。。。辰哉。。もう家にも泊めてくれません。。わたし実家が東京なので、実家に泊まった方がお父さんもお母さんも喜ぶでしょ、って言われちゃって。。」

何も言えないでいるわたしに向かって、彼女は少しすっきりした顔で言う。

「Aさんの気持ちを聞いて、諦めがつきました。。。わたし変に辰哉に固執してたかもしれません」

喫茶店で別れる時、そんなことを言いながら彼女は薄く微笑んだ。

ひとり歩く駅までの道。

　

。。すごい時間だった。。

まだ緊張してるよ、わたし。

会う前は、自分の気持ちを知られてて修羅場になるんじゃないかとまで思ったのに。

思ってもみない話すぎて。。。

。。。頭の中整理したい。。

電車に乗って、スマホをのぞいてみるとLINEが入っていた。

〈了解。いつなら空いてる？Aに合わせるよ〉

深澤。。。

わたしが今日は先約があったからと断りを入れたLINEへの返信だった。

浅木さんの話では、ふたりはもう。。

なんだか、無性に今すぐ深澤に会いたかったけど、
今の自分は冷静じゃないことはわかってたから、
少し気持ちを落ち着かせるために、今すぐは返信しないで、スマホをバッグにしまう。

車窓から通り過ぎる景色を眺める。
最近は同じ電車に乗る深澤とも一緒に見ることもある風景。

電車の中は会社の人もいないし、ふたりだけの空間な気がして、ちょっと照れるけど、すごく嬉しい。

歓迎会の帰り道も、一緒に買い物に行った時も、熱を出したわたしを送ってくれた時も、

ふたりで電車に乗っているといつも、

改めて深澤のこと、好きだなぁって、

実感してしまうんだ。

ブルッと震えたスマホを見ると、深澤からのLINE。

〈金曜日とかどう？なんか予定ある？〉

気持ちも距離も離れていた時間を越えて、

わたしたちは、やっと、

動き出すのかもしれない。