第4話 ページ6
『あっ、あのっ…ハンカチ、落ちてませんでしたか?』
治「ハンカチ?」
『どこかで落としてしまったみたいで…どこを探しても、なくて…』
どんどん小さなくなっていく声は自信がなさそうでか弱い。
そんな事を思いながら頭の中のハンカチにまつわる記憶を探す。
ハンカチ、ハンカチ…って、あ。
治「あっ、そんなら俺今日渡り廊下で…!」
そう言いかけた時、最悪な喧しい声が俺の言葉を遮った。
侑「サムーっ!なにしてんねん!お前のせいで俺怒られたやんけ!」
治「はぁ?なんや知らんけどなこっちはお前探しのためにわざわざ探しに行かされたんやぞ。謝れクソブタ」
侑「そのお前が帰ってこうへん言うて俺が探しに出されたんじゃ!」
治「ちょっとは俺の苦労を思い知れアホ」
侑「うっさいわ」
とそこでいつも通り掛け合いをした後、ポカンとしているこの子を見て我に帰る。
やばい、今この子と話してる途中やったんや。
こいつに見られたら…
侑「あっ!さっきの!」
治「さっきの?」
『あっ!先程はありがとうございました!』
深々とお辞儀をする彼女と得意げに笑うツム。
その構図が既に気に入らんけど、気になるのでわけを促した。
治「なんなん?自分ら知り合いなん?」
『ハンカチを一緒に探していただいて…!』
侑「見つからへんかったけどな〜」
こいつ人でなしの癖になんやまともなことしとるな。
どうしたん。槍が降んで。
侑「失礼なこと思てへんやろな…!」
治「よおわかったな」
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作者名:さくさくぱんだ | 作成日時:2020年6月1日 13時