先代のNo. 1リベロは

二十七話 ページ28

日向くんとは俺が中学三年の時、転校先の雪ヶ丘中学校で出会った後輩だ。


中学生の部活動は高校生と違って三年生は夏の大会で完全引退。

受験があるからね。

俺が転校した時期はその一ヶ月前。

部活に入れたとしても残りがあまりにも短く、それでもバレーをしたいと思って体育館に行った時。

男子バスケ、女子バスケ、女子バレー………その中に一人、不恰好にもバレーボールを使う明るい髪で小さい姿を見つけた。


…もしかして、あの子だけ？


ぼんやりと見ていたらボールが頭に飛んできて、当たった衝撃で我に返った。

転がったボールをしゃがんで拾って、誰のか見渡したらその子と目があって

『ひえっやっやややヤンキーだったったすすすみひゃせんれしたっ！！』

……なんて大声で言われて。


大丈夫の意味を込めて首を振ったんだけど、何か勘違いされて土下座までされたんだよね。



でも俺がバレーをしても良いか聞いたらすぐに打ち解けて、引退時期が過ぎても卒業まで一緒にやったんだよな。


トスを日向くんに上げてみたらすごく喜んでたっけ、懐かしい。



メールの内容は部活動についてだった。

俺が卒業したから日向くんまた部員一人になっちゃったけど…


『題名:お久しぶりです！

Aさん兵庫と高校はどうですか？

俺は部活勧誘してるんですけど、まだ来なくて…』


兵庫と高校か…観光したわけじゃないし兵庫についてはよくわからないな、高校は馴染めてない。

にしても来てないっていうことは、この一年間一人かもしれないんだよね。

……人はいるのに一人でっていうのは、一人が人の輪の中に入るよりも虚しいだろうな。



俺はあたりさわりのない返信をして、帰宅した。

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